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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ 真夏は、野外ロックフェスの季節中でも、上級の「山系」に出かけてはいかが?
小平一雅  2004年から行われている『大銀座落語祭』。今年は7月12日から開催されました。2006年は2万人を動員したそうで、それを受けて今年は会期を3日間から5日間に延長、会場も9会場にと規模を拡大したものの、チケットはやっぱり早々に売り切れ。相変わらず幻のチケットだったようです。
 このイベントが落語のお祭りだとすれば、普段の落語は寄席。寄席も今では若い人も詰めかける場となっています。普段の落語を見ることができる寄席、どんな感じの場所なのでしょうか?

和初期には、山手線のすべての駅の前に必ず一軒あった東京の寄席の定席 (じょうせき=毎日落語が聞ける劇場)も、今では下の表の5軒を数えるのみ。出演者にしても、昔のお笑い芸人は、コント55号もツービートもみんな寄席で経験を積んだものなのに、とんねるず以降の若手芸人は、寄席の客層の高齢化が進んだせいか、寄席を毛嫌いするようになり、活躍の場をプロダクション主催のライブに移してしまいました。おかげで、ブームの前の寄席はすっかり衰退ムード。江戸以来の伝統も風前の灯といった感じでした。
 そこに『タイガー&ドラゴン』による落語ブーム。落語を楽しむなら寄席に行くのが一番。今では満員御礼になることも多く、人が大勢来れば演っているほうものってきますので、イイ感じになっています。

京の定席は、昔も今も10日単位で出演者が交代します。毎月1〜10日は上席(かみせき)、11〜20日は中席(なかせき)、21〜30日は下席(しもせき)と呼ばれ、各公演とも公演時間は、昼の部が正午から4時まで。休憩をはさんですぐに夜の部が始まり、終わるのは9時。昼夜入れ替えなしの寄席なら、2500円でまるまる9時間、のべ32組の芸人(6割が落語家で、4割は『色物』と呼ばれる漫才やマジック等です)が見られるわけで、これほどコストパフォーマンスに優れた娯楽は他にありません。1組の持ち時間も15分あり、かなりタップリ聞ける感じです(TVのお笑いライブは1組5分が基本ですから)。
 10日単位で出演者が交代するということは、大の月の31日はどうなるのでしょうか。それが余一会とよばれる特別公演で、一門会だったり江戸文化公演だったりと、特別なテーマを持った公演が行われます。

ころで、東京の落語家は全員、落語協会芸術協会のどちらかの暖帯に所属しています。この2団体は言ってみれば芸能プロダクションのようなもの。定席の各公演は、必ずどちらかの丸抱えと決まっており、例えば末廣亭の7月の下席の出演は芸術協会のメンバーだけですし、浅草演芸ホールの7月の下席の出演は落語協会のメンバーだけと決まっています。つまり、どちらかの協会に所属していないと、東京の寄席には出演できないのです。落語協会をケンカ別れで飛び出した立川談志一門と三遊亭円楽一門を定席で見ることができないのは、そのためです。
 では、定席に出られない落語家は仕事の場所がないのでしょうか。

席の客席数は平均300。それが全席満席になったとして、入場料総収入は75万円。売り上げは寄席と出演者の折半なので、出演者の取り分は37万000円。それを16組で分けたら1組あたりの取り分は平均2万円ちょっと。かつては通常の入りはその半分以下ですから、これでは到底食べていけませんでした。昔は一日数軒のかけもちが当たり前でしたが、今は寄席の数が少ないため、それもならず、落語家は地方の営業やホール落語の収入に頼っています。
 ホール落語というのは、新宿の紀伊國屋ホールとか虎ノ門のイイノホール等のホールを借りて行われる自主興行のことで、入場料はおおむね寄席より高く、その割に出演者数が少ないので、落語家一人の取り分は多くなります(観客にとっても、イスが大きいとか、一人の持ち時間が長いので大ネタが聞けるなどのメリットがあります)。談志一門も円楽一門も、定席に出られないからといってメシの食いあげというわけではなく、むしろその方が金を稼ぐには効率が良いのです。

に言うと、定席というのは、落語家が金のためではなく、江戸文化の保存と修行のために出るところ。落語は定席で聞いた方が気合いが入っていいという通もたくさんいます。そもそも定席は建物の造りからして江戸風で、噺を聞く気分が違います。
 気分と言えば、昔、江戸庶民は、季節の花を飾ったり旬の野菜や魚を食べたりといった、四季折々の気分を積極的に取り入れた生活を『粋』(いき)としてきました。落語の世界にも同じことが言え、季節にあった古典がたくさんあります。夏でいうと、『怪談噺』というジャンルはその一つ。『牡丹灯籠』や『四谷怪談』などは落語に限らず有名ですが、落語ならでは、というもので『鰍沢』(かじかざわ)も、もし聞く機会があれば、ぜひお楽しみください。幕末から明治にかけて活躍した三遊亭圓朝が、客から出題された三つの言葉を織り込んで即興で語る三題噺として作ったというこの噺、クーラーのない当時のうだるような暑さの中、クライマックスで客が身震いしたという逸話が残っている一品です。人情噺の名作『芝浜』も、この人がやはり三題噺で作ったとされており、名作を何本も残しているせいか、日本のシェイクスピアとも呼ばれています。

典落語は昔の言葉がやたら使われているので、分かりにくいとおっしゃる方も多いでしょうが、笑えるという意味ではたいがいの新作より古典の法が上。よく聞くと相当シュールなギャグが飛び交っています。
古めかしさにどうしても抵抗があるとおっしゃる方には、昇太 (しょうた)や喬太郎 (きょうたろう)あたりの新作からどうぞ。新作から入って、古典を今風に噛み砕いて話してくれる小朝や、名跡を継いだ正蔵に進んでみるのがオススメです。

寄席一覧表
新宿末廣亭
『新宿末廣亭』は、伊勢丹の明治通りをはさんだ向かいのレインボービレッジのすぐ裏。建物の渋さは都内随一。かつては閉鎖の噂もありましたが、今や東京で一番活気のある寄席と言えるでしょう。

浅草演芸ホール
浅草演芸ホールは、渥美清も出演した劇場を改装して作られた寄席。『タイガー&ドラゴン』に登場の寄席の外観はココです。

末廣亭楽屋風景
末廣亭の楽屋風景。落語家の演目は毎日変わるので、落語家はまずここで『ネタ帳』を見て前の演者たちの演目をチェックし、それでその日の演目を決めます。

しょうた
三遊亭昇太(芸術協会)
今や笑点の大喜利メンバー。落語に入門するならこのヒトから。

きょうたろう
柳家喬太郎(落語協会)
98年にNHK新人演芸大賞を受賞。10年が経ち、実りの時期にさしかかっている。

更新日2007年7月29日
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