江戸時代の麻布十番は、百石船が東京湾から古川を今の一の橋交差点まで上ってきていた海運の要所。石畳の公園『パティオ十番』は昔は魚河岸だったそうですし、スーパーのセイフーは『末広座』という劇場だったと言います。
関東大震災(1923年)後は、壊滅した下町から、被害が少なかった麻布に人が移り、昭和初期には、麻布十番は神楽坂と並ぶ山の手最大の繁華街に(『末広座』は一時、浜町の『明治座』が間借りしていたそうです)。
戦後も、映画館が3つできたり、都電が3系統も通ったり、町は繁栄を続けていましたが、都電が廃止され、地下鉄の駅がお隣の六本木にできて以来、急速に衰退。そこで始まったのが、ご存じ『麻布十番祭り』です。
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区の8月の最大のイベント、麻布十番祭りは、2007年は24日(金)、25日(土)、26日(日)の3日間の開催。開催時間は3時から9時までとなっています(六本木ヒルズがオープンした2003年から来場者が増えすぎ、警察指導でこの時間帯になっています)。空いているのは5時より前。お目当ての屋台にはなるべくお早めにどうぞ。
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ころで、麻布十番祭りが始まったのは、東京オリンピックがあった1964年。麻布十番周辺には由緒正しい寺や神社がたくさんありますが、この祭りはどこの神社の祭りということでもなく、商店街の景気づけの盆踊り大会としてスタートしました。
今のように、本職のテキ屋サンの屋台に交じって、地元の商店が自分の店の前の歩道に屋台を出して、いろいろなものを売る形式になったのは1968年から。美食の町だけあって、『レ・シュー』『ラ・コメータ』『アヴァンティ』といった町内の老舗料理店が、子羊のグリル、ライスコロッケ、ペンネ等の凝った料理を店の前で売るようになり、そうしたモダンな食べ物が、江戸以来の老舗(右表参照)揃いの街並みと妙にマッチ。また、土地柄、近所に住む芸能人や外国人モデルが浴衣姿で大勢訪れることもあって、80年代半ばには、「東京屈指のオシャレな祭り」との評判が定着します。
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、麻布十番祭りを麻布十番祭りたらしめている最大の特徴は、何と言っても『国際バザール』でしょう。例年、新一の橋交差点の首都高下の公園に30カ国前後の大使館関係者が飲食&物販の屋台を出すこの催しは、そもそもは、1978年、麻布十番商店会の若手が祭りに何か特色を持たせようと考え、麻布十番周辺に集中している50近い大使館に、手分けして出店を口説いて回ったのが始まり。この申し出に最初に応えてくれたのが、仙台坂上のパキスタン大使館と、暗闇坂のオーストリア大使館 (どちらも十番商店街の中心から歩いてすぐのところにあります)。ことに、パキスタン大使館は、大使夫人が「昔から一度日本の夏祭りに参加してみたかったの」と言い、自ら手作りのサモサの屋台で参加。このことが朝日新聞で大きく取り上げられて話題となり、翌年以降は参加国も順調に増加。商店街の真ん中にあった駐車場の空き地に各国大使館の屋台が集められ、『国際バザール』と呼ばれるようになります。
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大使館員のアブドゥールさんが出店しているバングラデシュの屋台。国際バザールにはほかにも、近くのイスラム学院が出店しているサウジアラビアなど、昔のノンビリしていた頃の雰囲気を残している屋台がまだまだあります。
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991年には、空き地の閉鎖に伴い、バザールは今の一の橋親水公園に移転。祭り自体が、3日の開催期間で30万人を集める大イベントに成長、2000年には地下鉄南北線と大江戸線の麻布十番駅ができたため、来場者は45万人に急増(一商店街が開く祭りとしては、今や日本最大と言われています)。各国の屋台は、手作りの料理ではとても数が間に合わなくなり、大使館の通商部が推薦するプロの業者が運営を代行するようになりました。
但し業者とは言っても、たとえばインド大使館のカレーは六本木『モティ』、中国大使館の北京ダックは三田『中国飯店』、いずれも港区内の老舗の一流飲食店ですから、そのおいしさは保証付き。
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の人気屋台で言うと、ドイツ大使館の焼きソーセージ(たぶんここが売り上げNo.1でしょう)はソーセージ輸入会社のハライコ・ジャパン、フランス大使館のロテサリー・チキンは、オーブンなどの輸入会社のロティ・フランス...といったふうに、運営しているのはいずれもその国に縁の深い会社。中には、スペイン大使館から頼まれて毎年麻布十番祭りでパエリアを作っているうちに、一年中食べたいという客の声が盛り上がり、その声に応えるために、白金に『サバド・サバデテ』というスペイン料理店を開き、そっちが本職になってしまった、宝石デザイナーのマヌエル・ベニート氏のような愉快な人物もいます。
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白金プラチナ通りの『サバド・サバデデ』(白金台5-3-2 TEL:3445-9353)は、国際バザールの屋台が発展して生まれたスペイン料理店。十番名物、パスタのパエリアがいつでも食べられます。店名は『花の土曜日』の意味。
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003年の夏からGTF(グレーター トウキョウ フェスティバル)の一環として日比谷公園で行われている『GTF日比谷フードフェスタ』は、かつては『ラ・ベットラ・ダ・オチアイ』、『福臨門』等の有名飲食店が凝った料理の屋台を出す点でどこか麻布十番祭りに似ていましたが、それもそのはず、実は開催に先立って、某大手広告代理店関係者が麻布十番商店会に運営のノウハウを教わりに来たのだとか。が、麻布十番祭りの楽しさの本質は、地元商店が儲けを抜きにしてお客様と一緒に祭りを愉しむ姿勢。こればっかりは、商売っ気まる出しの広告代理店が陰で糸を引いているイベントには、そう簡単にマネできるものではありません。
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