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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ 携帯による独自の音楽配信(ノン・パッケージ)が根付きつつある日本の音楽市場。街場のCD店(モルタル・ショップ)の生き残り策は?
日本のCDの売り上げ(生産ベース)は、宇多田、浜崎、MISIAらが一度にデビューした1998年の5879億円をピークに、その後減少の一途をたどり、2005年は3598億円までダウン。街場のレコード店も、ここ10年で劇的に減っています。そもそも、音楽を店でCDで買うという行為自体、ネットの音楽配信の影響で、廃れつつあるようです。
小平一雅 昔の若者は、レコードを買うとライナーノーツを読み、そこに書かれた別のレコードを買って、さらにそのライナーノーツを読み、というふうにして好きな音楽を「掘(ディグ)って」いったのですが、音楽配信に馴れた今の若者は「掘る」という行為をしないため、音楽の聴き方がどんどんライトになっているとも言われます。
今回は、変わりつつある日本の音楽業界とレコード店のお話です。

000年の初め頃、アメリカではナップスターグヌテラといった著作権法違反のファイル共有ソフトがはびこり、若者は、CDを買わず、好きな曲をタダでネットからダウンロードしまくっていました。アップル社は、こうした状況に危機感を抱いたアメリカの音楽業界を束ねることに成功。03年4月、合法的な音楽ダウンロード・システム、iTunesミュージックストアをスタートさせます。ここでアップル社が設定した1曲あたりの課金は、わずか99セント。ネット上での音楽配信はパッケージも輸送も在庫も要らないので、値段を相当安くできるものですが、それにしてもこの99セントという額は、ビジネスにするにはちょっと安過ぎたかも(当時のアメリカの音楽業界は、タダよりマシ、と思ったんでしょーかね)。
 iTunesミュージックストアは、登場以来、2006年の2月までに全世界で10億ダウンロードを達成しているそうですが、1曲99セントで計算すると、総売り上げは1000億円ちょっと。冒頭に紹介した通り、日本のCDの総売り上げは、年間3500億あるわけですから、全世界で3年間で1000億はちょっとモノ足りない数字かも。

の一方で、iTunesで自分のパソコンにダウンロードした音楽をいつでもどこでも聴けるようにした装置、すなわちiPodは、これまでに全世界で5800万台を売っており、その売り上げは、1台平均2万円として、約1兆2千億円。ソフトよりもハードの方が儲かっている珍しいケースと申せます。

i Tunesミュージックストアが日本に上陸したのは2005年8月。が、日本では、少しでもパソコンに精通している若者はみんな、ウィニーを使って欲しい曲をタダで違法ダウンロードしていますし、それほどのパソコン通ではない一般人は、iPodは、自分のCD、ないしはレンタル屋で借りてきたCDの曲を録音して再生するためにしか使っていないので、日本でiTunesミュージックストアを利用しているのは、まだまだ超少数派です。

本の音楽配信ビジネスの総売り上げは、2005年1年間で約350億円。その94%は、パソコンではなく携帯。それも大半が、つい2年足らず前に始まったau着うたフルの売り上げだと言います。最近、テレビでよく、アーチストの新曲のCMかと思いきや、最後に『ドワンゴ』と付くCMをやっていますが、あれが着うたフルのサイトのCM(au以外のキャリアも、着うたフルの勢いを無視できず、05年8月にvodafone、06年6月にドコモが、対応機種を発表しました)。

の着うたフルの料金は1曲おおかた300〜400円。そんなに高いのに、なぜ女子高生がこぞって使っているかというと、彼女たちの携帯の大半は、通話料が親の口座からの引き落としで、自分の懐は痛まないから。世間の親が、娘のパケット料金は定額のはずなのに、どうして月々携帯にこんなに金がかかるんだろうと不思議がりながら払っている金が、年に350億円もあるというわけです。

曲400円は、iTunesミュージックストアに比べ、ビジネスになりうる金額。着うたの頃は、携帯の音楽配信にあまりいい顔をしていなかったレコード会社も、今はCD発売に先行して、まず着うたフルで出すのが当たり前。レコーディングの際も、携帯で着うたフルで聴かれることを前提としたミキシング、マスタリングが行われていると言います。
 ちなみに、着うたフルで最初に100万ダウンロードを達成したアーチストは、大塚愛。彼女は、ノンパッケージ時代の最初のアーチスト。すべての歌手は大塚愛以前と大塚愛以後に分けられる、と言っても過言ではありません。

方、街場のモルタルショップ(ネット上のバーチャルな店に対し、街場のリアルな店をこう言います)も、こうした状況に手をこまねいてきたわけではありません。たとえば銀座の『山野楽器』は、土地柄、大人の会社員層に合わせたフロア構成と品揃えで、破格の好成績を上げていますし、『新星堂』は、この7月、高円寺商店街の一画に、70〜80年代の音楽だけを集めた大人専用のCDショップ『高円寺レコード』を出店――といったふうに、生き残りをかけて、CDに金を落としそうな40〜50代にターゲットを絞った展開を、各社が模索しています。

後、日本の音楽業界は、パソコンでの音楽配信が伸びるのか、携帯の着うたフルという日本独自の音楽配信システムが王座を独占しつづけるのか、それとも、街場のモルタルショップが巻き返すのか――三つ巴の戦いが、けだし見ものと申せましょう。

iTunes MusicStore
iTunes MusicStoreで購入した音楽は、自動的に曲名・アーチスト名・演奏時間等のデータが取り込め、曲順も自分好みに変えられます。最近はiPodで動画も見られるので、動画配信も充実。とにかく一度やったらハマること請け合い。

着うたフル
着うたフルの代表的サイト。左から、『レコ着』『リスモ』『MUMO』。auは2006年5月、CD発売前の平井堅の『バイマイメロディー』を100万ダウンロード分買い上げ、直営の音楽配信サイト『リスモ』のオープン記念として配りました。

山野楽器
1892年創業の『山野楽器』(東京都中央区銀座4-5-6 tel 03-3562-5051)は、全国に37店舗あるチェーンの本店。大人向けに特化した店内構成で都心の大型店の中でも屈指の成績を上げています。

高円寺レコード
『新星堂 高円寺レコード』(東京都杉並区高円寺南4-25-2 tel 03-3312-8255)は『新星堂』発祥の地である高円寺駅前パル商店街に2006年7月オープンしたCD店。70〜80年代の音楽に特化し、ビートルズ(60年代)は置かないという思い切った商品構成が売り。

すみや
『すみや』(東京都渋谷区渋谷2-15-1渋谷クロスタワー2F tel 03-3409-6091)は、かつて渋谷系ミュージシャンのインキュベーター的な役割を果たした、サントラ&ミュージカルCD専門店。ジャンル特化型CD店の中でも最も成功した事例です。

更新日2006年9月17日
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