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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ 銀座交詢ビルの飲食店はどこも、夜のコースが安くて8000円から。そんなに高くて大丈夫?
 年越しそばは、細く長く伸びていることから寿命を延ばすとも、切れやすいことから1年の苦労や災厄を切り捨てるとも言われて、庶民は江戸時代中期から、大晦日の縁起物として食べつづけてきました。 今でも東京の老舗そば店は、大晦日は普段はないテイクアウト用そばを用意し、さらに店内用に普段の3倍のそばを用意して客を迎えますが、多くの店は、開店前から行列ができ、夕方までには完売し、早めに店じまいしてしまいます。

小平一雅 2004年は、そんな老舗に代わって、流行りの深夜営業のニューウェイブそば店に足を向けられてはいかがでしょうか。
最近は、独学でそば打ちをマスターし、脱サラして店を開くご主人も増え、そういう店はなまじの老舗よりは研究熱心な分、おいしかったりします。侮れませんよ。
1 950年代まで、東京では、そば店イコール居酒屋。そば店は酒を飲むための店でした。従って、客が集まるのは夕方から。昼は営業せず、夕方から開けて午前2時頃まで営業する店も決して珍しくなかったと言います。 そもそも、そばに含まれるビタミンの一種コリンには、肝臓を保護・強化し、脂肪肝や肝硬変を防ぐ働きがあると言われています。酒の後にそばを食べるのは、医学的に理にかなったことなのです。 ところが1960年代になると、酒場としてのそば店は、バー、スナックの普及に押されて地位を失い、代わりに会社員層の昼食としての需要が増し、せいろの盛りの量が増え(老舗のそば店の盛りが少ないのは、居酒屋時代の名残りでしょう)、そば店は昼食の店に変身してゆきます。

ば作りは、(1)そばの実を臼で挽いて粉にし、(2)水を加えて練り、(3)薄く伸ばして細く切って(つまり「打って」)、(4)茹でる--という手順。一度打ったそばは劣化が速いため、銘店の多くは、そばを実の状態で仕入れ、(1)から自分のところでやっています。 つまり、そばは実の状態から客の前に出すまで、全作業を自分でできる珍しい食品。それだけに、そば職人には、誰にも仕事を任せず独りでやってしまう頑固オヤジが多く(そば屋にやたら怖い店が多いのはそのためのようです)、そのオヤジが、昼の営業のために早起きしてそばを打たなければならなくなったため、そば店の夜の営業時間はどんどん短くなってゆきます。

、90年代になると、オーソドックスな内装ながら、従来のそば店では考えられないほど豊富な種類の酒と肴を用意し、最後にシメのそばを出すという、古くて新しい店が出現します。 雑誌でよく見かける碑文谷の住宅街の中の『吉法師』(1991年)は、そうした「酒肴充実そば店」の走り。毎月替わる酒の肴のメニューは常時50品。今ですと、ふぐ刺しからすっぽん鍋まで用意している本格派です。 また2000年9月に白金にできた『三合菴』は、ロケーション、内装、肴の品数、味のよさ--どれを取っても「酒肴充実そば店」の最高峰。夕方この店を訪れ、生蛸の刺身で大吟醸を一杯飲(や)り、最後にシャキッとしたそばでシメる。至福の東京生活と申せましょう。

ころで、「酒肴充実そば店」の営業時間は、どこも午前11時から午後9時前後までですが、昼間の商売を捨て、代わりに営業時間を深夜まで延ばす「完全夜型そば店」も現れます。走りは、東京最古のそば店『永坂更科布屋太兵衛』の直系・堀井家のお嬢さんが恵比寿に開いた『』(1992年)あたりでしょうか。夕方6時から午前1時まで営業のこの店、そばは客の目の前で一から作って出すこだわりよう。料理の質と料金は、高級割烹料理店並みです。 この『翁』をぐっとカジュアルにしたのが、恵比寿の『』(1996年)、鷹番の『遊山(ゆさん)』(1997年)、三宿の『山灯香(さんとうこう)』(2000年)。これらの「完全夜型そば店」に共通した特徴は、 (1)今風のオープンキッチン  (2)BGMは夜らしくジャズ 少なくともこの2条件のうちどちらかは満たしています。一般にニュー・ウェイブそば店と呼ばれるのは、こうした店のことです。

がて、こうした店の中に、昼夜兼行で営業する店も現れます。 そば打ちの監督者をひとり置き、その下に何人かのそば職人を置くことで大規模店の深夜営業を可能にしたのが、松下3兄弟経営の麻布十番の『松玄』(1998年)。同店はすぐに恵比寿・銀座にも進出。3店全部のそば作りを監督する新井正幸さんは、都内の銘店で修業した後、一時は自分の店も持っていた方。彼の監督のもと、『松凛』は、そばを実の段階から自家製粉しており、食の専門雑誌ARIgATTが読者投票で選ぶ大賞を獲得したことからもわかる通り、専門家筋の評判も高いようです。 グローバル・ダイニングが台場と西麻布に展開中の『権八』も、『山灯香』の経営元のコスモエムが『山灯香』より先に恵比寿駅前に作った『香り家』も同じコンセプトの「昼夜兼行営業店」。これらの店の大晦日の営業時間は下表の通り。ほとんどの店が、深夜までやっています。貴女(マダム)も今年は、こうしたそば店で年越しそばを食べてから、初詣に行かれてはいかがでしょうか。


そば新店表
松玄・凛
『松玄・凛』(中央区銀座7-8-7 TEL:03-5568-8989)は、2001年7月に銀座中央通りにできた全11フロアに飲食店ばかりが入ったギンザグリーンビルの4Fのニュー・ウェイブそば店。営業は夜11時まで。松玄の「玄」は、殻付きのそばの実を意味する「玄そば」の「玄」。「凛」とは、雑物を徹底的に漉したそば粉で作る更科系の白いそばの呼び名。そば職人と、一般料理担当の料理長を別々に置くシステム。基本メニューは恵比寿店と同じですが、国産生ガキにこだわっているのが特徴で、常時10種類の食べ較べが可能。奥には、個室もあります。

松
恵比寿ガーデンプレース近くの坂の上の『松』(TEL:03-3442-3915)は、近くでバー『FAB』も経営するマックティクリエイトが作った和食プラスそばの店。2001年4月に、すぐ近くに支店の『分松』をオープン。

権八
『権八』(TEL:03-5771-0170)はこれまで何をやってもうまくいかず、頻繁に商売が変わっていた西麻布交差点角にグローバル・ダイニングが敢えて作った蔵みたいな外観の店。1,2Fがそばと串焼き。3Fは寿司。

山灯香
『山灯香』(TEL:03-5779-3670)は、神戸の不動産会社コスモエムが三宿交差点角に作った、ニューウェーブそば店の傑作。そばは太くて香り高い山形の「板そば」。肴も豊富。クラブ帰りの若いコも気軽に入っています。

更新日2004年11月28日
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