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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ フランス製マロン・クリームから和栗クリームへ 秋の味覚モンブランに何かが起こっている!
 パリの菓子店(パティスリー)には、豊かな季節感があります。初夏ならイチゴ、盛夏はブルーベリーとフランボワーズ、秋は栗と洋ナシ、もう少し後になったらリンゴ、冬の声を聞くととたんに宗教色が強まって、ブッシュドノエルやガレットドロワ、そして2月になったらショコラ、といった具合。

小平一雅  中でも10月のパリは、ドラム缶の上で生栗を焼いて売る、「マロニエ」と呼ばれる焼き栗の屋台が街に溢れ、街じゅうが「焼き栗、焼き栗(マロン・ショー マロン・ショー)」という売り声に包まれる栗の季節。パティスリーの店先でも、モンブランが幅をきかせます。
 日本の女性誌は、毎年秋になるとモンブラン特集を組みますが、2004年のモンブラン特集の弾け方はちょっと異常。今回は大ブームの兆しが見えるモンブランのお話です。
ロン・クリームの上に粉砂糖をふり、アルプスの最高峰に見立てたケーキ、モンブランは、パリのルーブル美術館近くで1903年から営業をつづけるサロン・ド・テ、アンジェリーナが創作したスイーツ。同店は、東京でもプランタン銀座の2階に84年の同デパートの開業以来、サロン・ド・テを出しているほか、東急デパート東横店や新宿タカシマヤにも支店があり、東京っ子もいつでも元祖(オリジナル)モンブランを賞味することができます(パリの本店のモンブランは日本人には大き過ぎるため、通常、東京で売られているのは2分の1のデミ・サイズ。が、秋から冬にかけて、東京でも本場サイズが売り出されます)。
 アンジェリーナのモンブランは、スポンジやカスタード等の余計なものを一切使わない、メレンゲ生クリームマロン・クリームだけのシンプルな作り。が、味が極端に甘いので、評価はまっ二つ。好きな人は死ぬほど好きだけど、苦手な人は心底苦手という感じ。

ンジェリーナに限らず、日本のケーキ店がモンブラン作りに使っているマロン・クリームは、通常、フランスで作られたクリームを輸入したもの。このクリームはたいていの場合、大量の砂糖を加えたムチャムチャ甘い味。栗のシーズンは9月中旬から10月いっぱいまでと短いので、1年じゅう店でモンブランを売ろうと思ったら、加工済みで保存がきくクリームを使わざるを得ない、という事情があるようです。

ランスで食べられている栗の多くはイタリアかスペインなどの南欧産。南欧産の栗には2種類あり、比較的甘味が強く、形が丸く大粒なのがマローネ(フランス語でマロン)。とげなしのイガに入った片面が平らな小粒の栗がカスターニャカスタネットの語源。確かに形がよく似ています)。フランス菓子に使われる栗は、主としてマローネの方ですが、実はこのマローネよりもさらに甘みが強くおいしいと言われるのが、日本産の和栗です。
 栗にはでんぷん(=糖質)が35%近く含まれており(ついでに言うとビタミンCもたっぷり)、そのまま焼いたりふかしたりしただけでも十分に甘いのはそのためですが、和栗はマローネよりさらに多くの糖質を含んでおり、焼くとより甘くホクホクした感じ。

本全国に栗畑は2万6000ヘクタールあり、作付け面積では全果物中で第3位(日本は意外な栗大国なんです)。主な産地は熊本、愛媛、茨城。中でも茨城は和栗の23%を産するNO.1生産県で、熊本産や愛媛産の栗が主として関西で消費されているため、東京の市場に入って来る栗は、ほとんどが茨城産です。

栗は、成分に糖質が多いので、クリームに加工した後も痛みやすく、洋菓子の材料としては扱いにくいとも言われています。私どもが知る限り、東京の街場のケーキ店で、最初に自家製の和栗クリームを使ってモンブランを作ったのは、12年前の八王子のアポワン(今も行列が絶えない人気ケーキ店です)。1個500円のモンブランが一日に1500個も売れるほどの人気でしたが、あまりに手間がかかって他のケーキに手が回らなくなってしまったことと、いい栗が手に入りにくく、質をコントロールしきれなかったために、5年前にモンブランの製造をやめてしまったと言います。

最近、東京のパティスリー界では、モンブランに和栗を使うのがトレンド。和栗のクリームを使うと、瓶詰めの輸入フランス産クリームを使うのと違って、1.その季節の旬の味が出せる、2.甘味が抑えられる、3.栗のホクホク感が強調できる──といったメリットがあります。
 それと、もう一つ、洋菓子店がデパ地下に次々に進出して競争が激化したため、客の目を引こうと、ケーキ全体をマロン・クリームで茶巾ずしのように包んだり、舟形タルトの上にマロンク・クリームを1本の太い帯にして乗せたりといった、変わり種モンブランを出す店が増えたことも、最近の大きなトレンド。
 貴女(マダム)もこの秋は、栗にこだわってモンブランを食べ較べられてはいかがでしょう。ちなみに赤坂のホテル・ニューオータニでは2004年も和・仏・伊の3種類の栗のモンブランを食べ較べできる三栗物語を出しています。手っとり早くはそちらへどうぞ。


栗
和栗は一つのイガに2〜3個入っているのが普通。粒の大きさにより、S・M・L・2L・3Lに分類。品種としては、NO.1ブランドの筑波をはじめ、丹沢、銀寄、利平といったところが一般的。

モンブランの断面図と瓶詰
左はオーソドックスなモンブランの断面図。真ん中の生クリームが全体の味にとって結構重要です。右は、モンブランに使われる、瓶詰のフランス製マロン・クリーム。

トシ・ヨロイヅカ
Toshi Yoroizuka』(渋谷区恵比寿1-32-6 TEL:03-3443-4390)は、マロングラッセ発祥の店、パリの『ストレー』でも修業したパティシエ、鎧塚俊彦氏の店。オープンは2004年10月7日。カウンターで鎧塚さん本人が作るデザートも食べられます。

トロワグロ
トロワグロ』(新宿小田急デパート本館B2F TEL:代03-3342-1111)は84年から小田急に出店しているフランスの3つ星レストランのケーキ店。専属契約ゆえ、日本店は新宿小田急のみ。何故か最近急に美味しくなったと言われています。

ラ・プレシューズ
ラ・プレシューズ』(港区南麻布5-2-37 TEL:03-5798-4845)は2001年1月開店。モンブランは国産の新栗のみを使っているので、毎年期間限定発売。注文を受けてから作るので時間がかかるのがミソ。隣接のテラスでイートインも可能。

当コンシェルジュのイチオシ、広尾のプレシューズのモンブラン。栗の味が一番よく出ています。
これが本文で紹介しているアンジェリーナの元祖モンブラン。
ホテル西洋銀座の伝説のパティシエ、稲村省三が鶯谷に出したイナムラショウゾウの「上野の山のモンブラン」。
元は湯島の店で、最近丸の内OAZOに出店したタントマリーe.A。上は同じマロンクリームを使ったバルケット・マロン。
更新日2004年10月17日
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