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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ カリブの海賊たちが飲んだ、真夏の酒ラム。ソムリエ御用達のマルティニーク島産が人気!
 カリブの蒸留酒ラムは、ダイキリ、マイタイなどの涼しげなカクテルのベースとなる夏の酒。そして、イギリス海軍が、志気を鼓舞するために、官給品として乗組員に配った海軍の酒でもあります。

小平一雅  1970年代、英海軍が官給を打ち切ってから、海軍用ラムが市場に出回り、世界じゅうで飲まれるようになりました。日本のスピリッツ市場でのラムのシェアはまだ、ジン(44%)、ウォッカ(37%)の約3分の1(13%)に過ぎませんが、3年前、映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』のヒットに乗じ、洋酒会社が都内のバーに積極的に売り込んだおかげで、フランス領マルティニーク島産のラムと、キューバのカクテル、モヒートが急速に普及しました。今回はこの二つを中心に、夏の海の酒、ラムのお話をいたしましょう。
ム酒は、カリブ海沿岸諸国で広く作られていますが、それぞれのラムは、各国を17〜19世紀に植民地支配していたヨーロッパの宗主国の飲酒文化を色濃く反映しており、たとえば旧イギリス領のギアナジャマイカのラムはウィスキーのようなえぐみのある重い味わいですし、フランス領マルティニーク島のラムは、気品あるブランデーのような味わい。旧スペイン領のキューバプレルトリコ産のラムはシェリーのような軽い感じ。大まかに言って、カリブ海の南のラムはヘビーで、北に行くほど軽くなります。

ム酒の製法は、1. さとうきびの搾り汁を煮詰め、2. 遠心分離器で糖度の高い『糖蜜』(これを精製すると砂糖になります)をはね飛ばして取り除き、3. 底に残った糖度の低い『廃糖蜜(モラセス)』を発酵させ、4. ホワイトオークの樽で熟成させる──という手順。
 例外がマルティニーク島産のラムです。この島は今もフランスの領土なので、ラムにもワインと同じ原産地統制呼称法(アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ)=AOCが適用され、製法について厳しい制限があります。マルティニーク・ラムには、『工業(アンデュストリアル)ラム』と『農業(アグリコール)ラム』の二つがありますが、このうち『農業(アグリコール)ラム』は、『糖蜜』を除去していないさとうきびの搾り汁をそのまま発酵させて作られるため、成分が複雑で、深い味わいがあると言われています。

通、ラムはその液体の色から、ホワイト(透明)・ゴールド(中間色)・ダーク(濃褐色)の3つに分類されます。カクテルのベースとして使われるため、消費量が一番多いのがホワイト。歴史が最も古く、味わいも深いのがダーク。が、そのダークラムすら、ストレートやロックで飲まれることはあまりなく、普通はジュース(オレンジかパイナップルが合います)やコーラで割って飲まれています。ところが、マルティニーク島の『農業(アグリコール)ラム』のダークラム(マルティニーク・ヴュー)は、ストレートやロックで飲んでも十分においしく、酒好きは、モルト・ウィスキーのように味を飲み比べて、愉しんでいます。

らに、このマルティニーク産のアグリコール・ラムは、ソムリエ試験に出題されるため、日本中のソムリエたちが熟知している酒。近年のワインブームに乗って、我が国でもめきめきその名が知られるようになりました。今では、気のきいたワインバーなら、トロワ・リビエールJ・バリーなどのマルティニーク島産を必ず置くようになっています。

ルティニーク産ラムと並び、最近東京でブームを呼んでいるのが、ラム酒をベースにしたカクテル、モヒートです。モヒートは、ラムに、ライムジュース、砂糖(ティースプーン1杯)、ソーダを加え、これにクラッシュアイスと、ペステルと呼ばれるすりこぎ棒で潰したミントの葉を入れて混ぜたもの。外見は青汁みたいですが、飲んでみるとミントの爽やかさがきいた夏らしいカクテル。ペステルのない店はミントの葉をバースプーンの背で潰し(カクテルブックにはたいていこうやって作れと書いてあります)、グラスにマドラーを添えて、お客が自分で好みに応じてさらに葉を潰して飲むようにしています。
 ミントは繁殖力が強いので、バーテンダーは自宅のプランターで葉を育て、毎日自分で摘んで店に持って来ています。ミントにはスペアミントとペパーミントがあり、一般にはペパーミントが使われていますが、スペアミントの方がまろやかな味になるようです。

のモヒート、キューバのハバナ旧市街の酒場ラ・ボデギーダ・デ・メディオの名物カクテルだったのですが、ハバナに住んだ作家、ヘミングウェイ(1899〜1961)が好んで飲んだために、世界中にその名が知られるようになりました。
 東京ではサルサ・クラブとともに広まり、映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の公開で、一気に普及しました。

ころで、ラムの原料となるさとうきびは、カリブ海の代表的な農産物のように思われていますが、実は原産国はインド。それがシルクロード経由でヨーロッパに入り、15世紀末、コロンブスがカリブに持ち込んだために、カリブ各地で急速に繁殖。収穫に人手が必要になったため、ヨーロッパの列強は、アフリカから奴隷をカリブに運び、カリブで穫れたさとうきびの糖蜜を北米に運んでそこでラム酒を造り、そのラム酒をアフリカに運んで引き換えに奴隷を買うという、いわゆる『三角貿易』を盛んに行います。
 ラム酒は、そういう黒人の哀しい歴史を背負った酒でもあるのです。教養ある貴女(マダム)なら、そうした歴史も踏まえた上で、お召し上がりください。

タフィア』(TEL:03-3407-2219 港区西麻布2-15-14ウエストポイントビル1F)は、カリブ海のフランス領マルティニーク島とグァドループ島の『農業ラム』を専門に扱う店。この2島から70種ほどを仕入れているので、飲み比べにピッタリ。店内にはサルサが流れ、陽気なカリブの雰囲気。カジュアルですが、志の高いバーです。モヒートは1杯1000円(スペアミントを使用)。氷がクラッシュアイスではなく大きめなのが、玉に瑕。オーナーの多東千恵サンは『ウォッカトニック』出身だそうです。

ヴィラ・マダレナ』(TEL:03-3499-1777 港区西麻布2-24-17)は、2003年6月にオープンした、コロニアル・ポルトガル・ダイニング。深夜はカウンターがバーになり、モヒートをはじめ、ブラジルのピンガなど、中南米の酒が愉しめます。

サルサ・スダータ』(TEL:03-5474-8806港区六本木7-13-8 3F)93年オープンのサルサ・クラブの老舗。ウィークデーはキャッシュ・オン・デリバリーのバーとなり、生ライムを絞った意外に良心的な作りのモヒートが1杯900円で飲めます。

更新日2004年6月27日
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