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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ ギリシャに長寿をもたらす高品質オリーブ油。今年注目の料理は、ズバリ『ユベチ』です
 2004年8月13日からアテネ五輪が開幕。今回の日本選手団は有望選手が目白押し。これほどメダルの期待が高まる五輪もありますまい。
 それに合わせて、ブラピ主演の映画『トロイ』、蜷川幸雄演出のギリシャ悲劇『オイディプス王』、ギリシャ料理店『スピローズ』のニュー・オープンと、ギリシャ関連文化もジワジワ盛り上がってきています。

小平一雅  ギリシャ移民は世界中に進出しているのに、なぜか東京だけ避けられていて、大使館が把握している在日ギリシャ人は200人に満たないとか。そのギリシャ大使館自体(西麻布にあります)、3軒隣りのラオス大使館に較べるとやけにみすぼらしく、はからずも日本とギリシャの縁の薄さを象徴した格好。今回はそんな縁の薄いギリシャを、料理で理解してみましょうという特集です。
女は、ギリシャの有名人を何人空で言えます?ピタゴラス?ソクラテス?プラトン?いやいや、そりゃみんな紀元前4、5世紀の人でしょう。最近ではどうです?え、何?誰も浮かばない?そうでしょう。ここ2500年ばかり、ギリシャは調子が悪いですから…。

リシャ周辺のエーゲ海に文明が生まれたのは今から4600年前。ギリシャ本土に、アテネやスパルタ等の都市国家(ポリス)が次々に誕生したのが紀元前8世紀。言語、科学、政治、芸術、スポーツ等、今日の西欧文明の大半は、当時のギリシャの都市国家で生まれました。ギリシャは地球上で最大の先進国だったのです。
 その後ギリシャは、紀元前2世紀に隣国ローマ帝国の属州となり、4世紀にはローマ帝国がキリスト教以外の異教を認めなくなったため、多神教に因(よ)る古代ギリシャ文明は絶滅。その後はトルコの支配を受け、そのトルコから独立したのが1821年。度重なる外国支配で、ヤル気がなくなっちゃったんですね、ギリシャの人たちは。

リンピックを別にして、今のギリシャで一番有名なのはオリーブ油でしょう。生産量こそイタリア、スペインに次ぐ世界3位ですが、国民1人当たりの消費量は、イタリアの12.3リットルに較べ、24.5リットルとダントツ1位。中でも圧倒的な生産量・消費量を誇っているのが、エーゲ海文明の故郷、クレタ島(ギリシャは、本土と3000の島から成り、クレタはその南端に位置します)です。

リーブ油は一般に、酸度1.5〜1.0%がバージンオイル、1.0〜0.1%がエキストラ・バージンオイルというふうに、酸度の低さで等級が分けられますが、クレタのオリーブ油は酸度0.3%以下が普通。この等級に照らして言えばエキストラエキストラ・バージン・オイルということになります。また、オリーブは、虫がつくのを畏れて実が熟しきらない青い状態で採取して搾ると、油にえぐみが出てしまうのですが、クレタは気候が暑すぎて虫がつかないため、完熟してから搾ることができ、えぐみがなくフルーティなのが特徴。
 そもそもオリーブ油には、動脈硬化を防止し、血圧を下げる効果があります。統計によればギリシャは世界3位の長寿国で、しかも、国民1人あたりの医療費はアメリカの10分の1以下。その健康の秘訣が質のいいオリーブ油の摂取にあることは間違いありません。

本でもよく知られたギリシャ料理と言えば、ムサカスブラキバカリャロ(以上右図)と、タラモ(タラコとジャガイモのオリーブ油和え。略してタラモではありません。タラコをギリシャ語でタラモと言うのです)──いずれもオリーブ油をたっぷり使った料理ですが、油の質がいいため、少しもしつこくないのが特徴。
 ギリシャの料理は、隣国トルコの料理の影響を強く受けていますが、トルコほど香辛料を使わないので、辛くも苦くもなく、クセがありません。また、素材をこねくり回さずシンプルに調理する点、イカ・タコ等欧米人が嫌う魚介類を積極的に使う点など、日本人の口に合う点がたくさんあります。

た、ギリシャは葡萄酒の故郷。ことに、最近のギリシャ・ワインを世界に知らしめたのがサントリーニという白ワイン。安価ながら他のどの国の白ワインとも違うさっぱりした飲み口が身上。また、松ヤニの樹脂を加えた、ムチャムチャクセのある味のレッツィーナという白ワインも有名。これにハマっているOLも大勢いるようですが、どこの店でも興味本位で注文した客は必ず残しているとか(レッツィーナが全部飲めたら貴女も立派なギリシャ通です!)。

存する日本最古のギリシャ料理店は、横浜で1960年からつづく『サロニコス』。横浜にはかつてギリシャ船籍の貨物船が数多く入港したため、他にも『ミコノス』『スパルタ』『アテネ』の3軒のギリシャ料理店があり、今も営業を続けています。
 一方、東京で一番古い店は1971年オープンの六本木の『ダブルアックス』。東京には、この他、渋谷『エーゲ海』、新宿『風の蔵』、裏原宿にオープンしたばかりの『スピローズ』(この店の売りの超ショートパスタ料理ユベチは、流行の兆しあり)の計4店のギリシャ料理店があります。いや、4軒しかないと言うべきでしょうか。
 この夏は映画『トロイ』かギリシャ悲劇『オイディプス王』(エーゲ海の島を舞台にした『マンマ・ミーア!』でもいいかも)を観て、『スピローズ』でユベチを食べ、バーでピスタチオをつまみにウーゾを飲むという、ギリシャな一日を過ごして、アテネ五輪での日本選手の活躍を祈ろうではありませんか。

2003年、アメリカで異例の大ヒットを記録した『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』はシカゴに住むギリシャ移民の話。ノンビリ屋で子だくさんで世話焼き屋で無類の話好き、家族・血縁を何よりも大事するギリシャ人気質がよくわかります。

横浜長者町のディープな場所にあるギリシャ料理の老舗『サロニコス』(横浜市中区曙町3-40 TEL:045-251-8980)は、ロケーションも店構えも内装もいかにも横浜という感じ。厨房に立つギリシャ人店主はギリシャの船のコック出身とか。

老舗の『ダブルアックス』(港区六本木3-10-4 TEL:03-3401-7384)の名物は、客が願い事を書いた専用の皿を店内中央で踊る男性の足下に向けて投げて割るギリシャ古来の「皿割りショウ」。ショウは毎晩8時頃の1回のみです。

神戸生まれのギリシャ人、メンザス・スピリドンさんが、2003年11月、原宿キャット・ストリートの3F建てファッションビルの最上階に出店したギリシャ家庭料理の店『スピローズ』(渋谷区神宮前4-26-28 TEL:03-5786-4446)。真っ白な店内は一見喫茶店風ですが、壁3面と天井がガラス張りで、開放感抜群(これをギリシャ風と言うのでしょう)。どの料理もクセがなく超美味。名物料理のユベチが日テレ『ぐるナイ』で取り上げられて一躍人気店になりました。

更新日2004年6月13日
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