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 2001年9月、日本国内最初の狂牛病の牛が発見され、家庭での牛肉消費量が17%ダウン、あのスタミナ苑ですらウィークデーは並ばずに入れるようになった騒ぎは、みなさんの記憶に新しいところ。その騒動がようやく沈静化した2003年12月、今度は、狂牛病は絶対にないと言われたアメリカで狂牛病が出現。米国産牛に頼っていた牛丼チェーンが牛丼の販売を次々にうち切る騒ぎになっています。

小平一雅  イギリスでは1986年の狂牛病発生以来、18万頭の発症が確認され、2〜8年の潜伏期間も考慮に入れ、未発症の牛を含む470万頭が処分されました。沈静化した今も、年間1000頭が発症していると言います。それに較べると、日本の事情はだいぶ違うようです。
 今回は、狂牛病について改めて考えてみました。
がスポンジ状になって牛が死ぬ病気、すなわち狂牛病が発見されたのは、1986年。同じ症状が羊に起こるスクレーピーは200年前から知られていましたが、牛には汚染(うつ)らないと考えられていました。
 一方、人間の脳がスポンジ状になるクロイツフェルト・ヤコブ病も80年前から知られていましたが、こちらもスクレーピーや狂牛病とは無関係に、老人が自然にかかる病気とみられていました。
 ところが1980年代、狂牛病が流行していた英国で、若い人がかかる変種のクロイツフェルト・ヤコブ病が出現。英国政府は、狂牛病とは無関係と主張していましたが、1996年になって、狂牛病の牛を食べたことが原因であることが確認され(ちなみに、羊のスクレーピーは人間には汚染らないことも確認されています)、大騒ぎになりました。

ころで、狂牛病の病原体はプリオンという蛋白質。プリオンは脳・脊髄・目にたくさんあることがわかっていますが(普通の肉や牛乳にはありません)、何に役立っているかは不明。そのくせ、異常が起こると死に至らしめられる、厄介な存在です。
 白いドミノが一列にズラッと並んでいる様子を想像してください。これが正常なプリオンです。この白いドミノの間に、赤いドミノ、つまり異常なプリオンが入り、バタンと倒れると、それに押されて白いドミノは次々に倒れます。白ドミノは倒れると赤く変わるので、やがてすべてのドミノが赤くなり、人間を死に至らしめます。
 病気の犯人が、他の病気のように、ウィルスとかバクテリアとかではなく、ただの蛋白質であることが、この病気の特異な点。生き物ではないので、熱とか放射線で対処することもできません。

常プリオンの感染経路は、経口のみ。つまり、食べなきゃうつりません(最初の狂牛病は、牛が何らかの形でスクレーピーの羊を食べたために発生したと考えられています)。そこで問題となるのが、牛の骨やバラ肉を砕いて粉々にした飼料、牛骨粉。コストが安く、牛に食べさせると肉の量も増えるため、畜産界に一気に広まりました。そして、牛が狂牛病にかかった牛の牛骨粉を食べたことで、狂牛病もまた一気に広まってしまったわけです。
 たとえば、オーストラリアは、牛骨粉は一切使っていない上、羊のスクレーピーもゼロなので、牛肉は世界一安全(アメリカも牛骨粉は使っておらず安全としていたのですが、昨年暮れにとうとう1頭みつかってしまいました)。

本でも、牛骨粉のような動物性蛋白はサシの入り具合に悪影響を及ぼすため、松阪牛・近江牛・米沢牛・前沢牛等の銘柄和牛は、昔から植物性蛋白質のみで育てられてきました。その意味で、銘柄和牛は一切心配ありません。
 1996年以降は牛骨粉の使用が禁止されていますが、罰則規定がなかったため、一部の畜産業者が使いつづけていました。政府発表では、肉骨粉を食べていた牛は日本国内に5千頭。その中に、英国から入ってきた牛骨粉を食べた牛がいて、それが2001年9月以降に発見された狂牛病1号となったわけです。

牛病に関して、マスコミは、政府の対応を批判するあまり、不安感を煽り過ぎているきらいがあります。そのいい例が、全頭検査について使われている『擬陽性』というコトバ。字面からコレを「狂牛病の疑いのある牛」のこととお思いのマダムも多いかと思いますが、このコトバ、正しくは『偽陽性』。つまり、陽性じゃないのに陽性とみなされてしまったニセの陽性。検査の基準を厳しくすればするほど、まず陽性を疑ってかかるため、偽陽性は出やすいもの。怖いのはむしろ偽陽性が一つも出ない基準の甘い検査の方。マスコミの誤解です(国内では2001年〜2004年の間に見つかった狂牛病の数は、全部で10頭)。

来、狂牛病は感染性が非常に低い病気。狂牛病の牛を食べた牛が発症する確率は1割以下。人間の場合は、種の壁のおかげで、白いドミノの間に赤いドミノが入りにくいので、感染率ははるかに下。10年間で18万頭の狂牛病の牛が検出され、しかもそれが野放しで食用に供されていた英国で、狂牛病患者が107人だったことをみても、それはおわかりでしょう。

回、打撃を受けているのは、米国産の牛肉を使っていた牛丼チェーンと、一部のステーキハウスのみで、前回の騒ぎの際に大打撃を受けた老舗のすきやき店やしゃぶしゃぶ店、また煽りを食らって売り上げを減らしたハンバーガーチェーンなどは、ほとんど影響がないとしています。いずれにせよ、狂牛病の本質を正しく理解して、冷静に対処したいものです。



人形町今半(中央区日本橋人形町2-9-12 TEL:03-3666-7006)は、1895年に牛鍋屋として本所に創業。1952年、今の場所で開業。浅草今半とは、兄弟の関係。1階は鉄板焼きの『びーふ亭』。2階がしゃぶしゃぶ、すき焼きのお座敷。近江(滋賀県)の牧場と提携し、最高級近江牛の処女牛(生後24ケ月のお産をしていないメス)の肉を20日間熟成させて食べさせてくれます。ちなみに、滋賀県では過去8年間、すべての牛に対して肉骨粉を与えていません。

ちんや(台東区浅草1-3-4 TEL:03-3841-0010)は、1880年創業の浅草の顔とも言える老舗すき焼き店。文明開化の頃を思わせる洋室がいい雰囲気。肉は近江牛と松阪牛。今後も輸入肉を使う予定はないそうです。

はせ甚(港区麻布台3-3-15 TEL:03-3582-7811)は、1862年創業の最古のすき焼き店。古くから松坂(三重県)の肉を使用。松坂牛は、稲ワラの粗飼料と、大麦・大豆・トウモロコシ等の濃厚飼料で育てられています。


牛肉取り扱い企業比較表
種類企業名所在地2003年アメリカ初の
狂牛病発見後の影響
使用牛肉の生産国
ハンバーガー マクドナルド全国3721店舗影響なし豪100%
ロッテリア全国648店舗豪100%
ファーストキッチン全国123店舗豪100%
モスバーガー全国1543店舗豪・米・カナダ→豪・カナダ
牛丼 吉野家全国821店舗'04.2.11終了米99%・豪1%→豚・鶏
すき家全国337店舗'04.2.5終了米100%→豚・鶏
神戸らんぷ亭全国50店舗3月末〜4月上旬まで米100%→豚・鶏
松屋全国383店舗'04.2.15終了米100%→豪・豚・鶏
なか卯全国286店舗'04.2.2終了米100%→豚・鶏
焼き肉 叙々苑都内近郊29店舗影響なし国産銘柄牛
スタミナ苑足立区鹿浜影響なし前沢牛・米沢牛
牛角全国402店舗米国産カルビは3月頃、ロースは6月頃まで、その後は豪州産に切り替え米85%・豪15%→豪
安楽亭全国286店舗米国産は3月頃まで、その後は豪州産に切り替え米・豪・国産→豪・国産
しゃぶしゃぶ
すき焼
温野菜全国26店舗米国産は3月末頃まで、その後、豪州産に切り替え米・豪→豪
モーモー
パラダイス
都内9店舗影響なし米・豪→豪
人形町今半都内近郊8店舗影響なし近江・松阪牛
ちんや浅草影響なし近江・松阪牛
米久浅草影響なし近江牛
松喜屋白金台影響なし近江牛
はね甚麻布台影響なし松阪・前沢牛
ステーキ フォルクス全国135店舗'04.2.1終了米・豪・国産銘柄→豪・国産
アウトバック都内近郊3店舗影響なし米→豪
ロウリーズ赤坂'04.2.1終了米→豪
更新日2004年2月22日
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