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 全世界で食用に供されているトリュフは約30種。最近発見された中国トリュフ、秋に出回る紫トリュフ、香りの薄い夏トリュフ等々、数あるトリュフの中でも、最も美味とされているのがフランスの黒トリュフとイタリーの白トリュフ。
 フランスの黒トリュフは、100年前まで年間1000トンの収穫があったそうですが、乱獲と林の減少により、今ではわずか年間75トン。イタリーの白トリュフに至っては年間25トン!

小平一雅  そのため値段はキログラムあたりで黒トリュフが15万円前後、白トリュフが50万円前後という気の遠くなる高さ。
しかも2003年は、六本木ヒルズに高級レストランがドッとオープンした関係で消費量が増え、さらに値が上がるのではないかとも言われています。
 今回は、黒と白のダイヤモンド、トリュフのお話をいたしましょう。
リュフは、カシ、ナラ、ブナ等の樹木の若い根に寄生し、生涯表面に顔を出すことなく、地表下15〜20センチのところで一生を送る不思議なキノコ。土壌、雨量、気温などの条件がすべて整わないと発生しないため、『幻のキノコ』とも呼ばれ、その発生条件は未だに不明。ヨーロッパには、根にトリュフを共生させた樹木の実で苗を作り、それを植林したトリュフ園(トリュフィエール)がありますが、そこにトリュフが発生するかどうかは神のみぞ知る。人間が意図的に栽培することは不可能で、それがトリュフの高価さの最大の原因です。

涯地表に顔を出さないトリュフがどうやって繁殖するかというと、昆虫や動物に食べられるときに胞子をばらまくから。動物に食べて貰うため、成熟期を迎えたトリュフは、自分の存在を外部に知らせようと、強烈な匂いを発します。その匂いは、昔から性を連想させる淫靡な香りと言われ、古代ローマでは催淫剤として珍重されていました。従って、トリュフの最大の魅力は香り。トリュフの値段の8割は匂いに払われると言っても過言ではありません。

リュフの中身の76〜78%は水分。ことに白トリュフは表皮が薄いので、水分が急速に抜けてゆき、一日に5〜8%くらいづつ重さが目減りしてゆきます。かと言って、湿気も大敵で、キッチンペーパーで包んで、湿気を守りながら保存するのですが、それでも保つのは掘り出してから2週間。触ってみて、グニャッとへこむものは、水分が抜けていて、香りも落ちてしまっています。

成の時期は、黒トリュフよりも白トリュフの方が早く、イタリーの協同組合がその年の最初の白トリュフを試掘して出来を見極めるのは、9月の第1週。ここで、その年はいつから堀り始めるかが決められ、だいたい毎年10月の3週目から12月の1週目くらいまでが採取時期。黒トリュフは、初霜が降りてから成熟が始まるので、市場に出回るのは、12月の上旬から。本格的なシーズンは1月〜2月と言われています。

調 理方法としては、イタリアンの白トリュフは、何と言っても生が一番。動物性脂肪と相性がいいので、チーズのリゾット、パスタ、卵料理等の上に、客の目の前で薄くスライスして(できるだけ断面積を多くして、それだけ香りを立てるためです)、直接かけます。表に、白トリュフが食べられる主なイタリー料理店を示しておきましたので、ぜひ足をお運びください。

方、フレンチの黒トリュフは、もちろん生でも食べますが、加熱すると出てくる水分(ジュ・ド・トリュフ)をヴィネグレットソースに入れたり、蒸して缶詰にしたり、マデラ酒とともに湯煎して瓶詰めにしたり、色々と加工して1年中使います。
イタリアンのように客の目の前で料理にかけるということはせず、厨房で調理され、皿に銀色の半球状のカバー、クロッシェをかぶせ客席に運ばれます(周りの客にタダで香りを嗅がせないよう、料金を払ったお客様の目の前までフタをしてゆくわけです)。

トリュフの多くはイタリー半島のアペニン山脈周辺で穫れます。最も標準的な香りなのがカスタネート産、真っ白で微かなガソリン臭があるのがムリゼンゴ産、赤みがかっていてニンニク臭があるのがニッツァモンヘラート産。これらはアルバという町に集積され、日本にはアルバ産として一緒に輸入されていますが、店でニンニク臭のする白トリュフに出会ったら「ニッツアモンヘラートかしら」と呟くと、箔がつくかと存じます。
 一方、黒トリュフで有名なのは、フランス南西部のペリゴール産。ペリゴールのトリュフは高級黒トリュフの代名詞と言われており、超高級フランス料理店で黒トリュフが出されたら、「ペリゴール産ね」と言ってみれば、たいていの場合当たっています。お試しください。

『ラ・ゴーラ』(港区六本木 7-4-5 TEL:5410-5550)では、薄くスライスした白トリュフをパスタかリゾットにかけて食べさせてくれます。パスタやリゾットの、食べる直前の温度は50℃前後。その温度で白トリュフをふりかけると、香りが立ってちょうどいいそうです。ちなみにトリュフを削る道具は、ミラノのピアモンテナポレオーネ通りのロレンツ製。ふりかけるとき、落下するトリュフ片が発する匂いを余さず嗅ぐため、鼻を皿の高さにまで持ってゆくマニアもいるそうです。ちなみに名物シェフの澤口知之シェフは抜けてしまいました。

黒トリュフ(12月下旬〜2月いっぱい)
ほとんどがフランス産。平地の乾いた石灰質の土壌を好みます。
白トリュフ(10月下旬〜11月いっぱい)
ほとんどがイタリー産。なだらかな傾斜地の粘土質の土壌を好みます。値段は黒トリュフの3倍。

※トリュフの主な産地の地図

『フェリチタ』(港区南青山3-18-4 TEL:3408-0141)は、白トリュフ料理のバリエーションが最も豊富な店。表のメニューにあるタヤリンとは、パルミジャーノチーズを練り込んだパスタで、ピエモンテではこれにかけるのが一番一般的。

更新日2003年11月9日
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