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 日本の映画館の総スクリーン数は、1993年には1734にまで減少していましたが、2003年には2635まで回復(もっとも1960年には、3倍の7457もあったんですが)。この映画再興トレンドを支えているのが、シネコンとミニシアターです。

小平一雅  中でも注目すべきは、大劇場が決してかけないアジアやヨーロッパの個性的な映画をかけるミニシアター、いわゆる『単館』。東京23区内に『単館』は42スクリーンあり、大阪の9スクリーンに較べると際立った多さ。一般映画の興収比率は東京3・地方7、単館系映画は東京7・地方3。シネコンが郊外型ビジネスであるのに対し、ミニシアターは明かに都市型ビジネスと言えます。今回は東京生活の象徴、ミニシアターのお話をいたしましょう。
日、日本の映画館は、邦画封切りチェーンが東宝系東映系の2つ、洋画のロードショーのチェーンが東宝系6つ、松竹東急系5つ、以上合計13系列--これら13系列のどれか1つに乗れば、その作品は9大都市にある各社の直営館で必ず上映されることになります(ちなみに、専門家は日劇1を筆頭とした東宝の洋画チェーンをAロード日比谷映画を筆頭としたチェーンをBロードというふうに呼んでいます)。
 たとえば『マトリックス・リローデッド』は、松竹東急系5系列のうち2系列で上映された上、これに13系列のどれにも属さないワーナーマイカルやAMC等のシネコンがこぞって乗ったため、日本の映画館全2600スクリーンの約3分の1にあたる800スクリーンで上映されました。

、日本中の映画館が『マトリックス』のようなお子様映画に占領されてしまったら、それはそれで退屈なこと。ヨーロッパやアジアでは、アメリカ映画ほどのメガヒットにはならなくても、少数の大人を深く感動させる個性的な映画がたくさん作られています。そうした作品を求める成熟した映画ファンを狙って、近年東京で急速に数を増やしているのが、いわゆる『単館系(ミニシアター)』映画館です。

館系のルーツは、1962年、今はなき有楽町日劇の下に作られた日劇文化という映画館(ここで上映されたポーランド映画『尼僧ヨハンナ』が単館映画第1号です)。1981年には、完全入れ替え制、前後がゆったりした椅子、配給元への最低4週間の上映保証といった今日の単館システムを確立したシネマスクエアとうきゅうが新宿に誕生。2002年、渋谷シネマライズで公開された『アメリ』が拡大ロードショー並みの興行収入を記録し、単館系ブームは頂点に達しました。

ころで、日本は世界一、客の映画の嗜好が読みにくい国と言われ、たとえば、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『海の上のピアニスト』は、世界的に見て日本でだけ当たった映画ですし、逆に『ベッカムに恋して』は、日本だけコケた映画(ついでに言うと、日本は口コミで観客動員が伸びることが皆無で、初日の入りだけで、最終的に何人入るかがわかってしまうヘンな市場でもあります)。
 従って、日本向けの洋画の買い付けはたいへんなギャンブル。が、世間にはギャンブル好きが多いようで、近年東京には、単館系の上映作品を配給するための配給会社が20社近く誕生しています(フジが『月9』で放送していた『東京ラブシネマ』は、この業界を舞台にしたドラマでしたね)。

外では、毎年2月にロサンゼルスのAFM(アメリカン・フィルム・マーケット)、5月にカンヌのMIF(マルシエ・インタナショナルド・フィルム)、11月にミラノのMIFED(ミラノ・フィルム・マーケット)と、3つの大きな映画見本市が開催されます。このほか、ベルリン、ベネチア、トロントといった有名な映画祭にも、映画見本市はつきもの(東京映画祭は、見本市が付随していない珍しい映画祭です)、配給会社のヒトたちは、これらの見本市に出かけて行って映画を買い付けます。

館では、映画よりも映画館のファンというのが圧倒的に多く(客が次の上映作品の前売りを買って行くので、前売り券がやたら売れるそうです)。従って、劇場のカラーに合った映画をかけることが最重要。そのため配給会社は、館主と一緒に見本市に行って買い付けたり、あるいは、渋谷ユーロスペースシネアミューズのように映画館自体が配給機能を持っていて、自分で買い付けるケースもあるようです。

本での上映権(TV放映権・ビデオ化権を含む)は、昔は総制作費の10%というのが相場。制作費1億円程度の外国映画を1000万円で買い付け、同額の宣伝費をかけ、4000万円の興行収入を得る、というのが一般的なビジネス・モデルだったそうですが、最近は配給会社間の競争の激化に伴い、製作費1億円の小品の買い付け価格が300万円前後にまで高騰。
 そうした価格の急騰に対処するため、最近は、テレビ放映を前提として初めからテレビ局に金を出して貰ったり、脚本段階から目をつけて制作費を出資して上映権を得たり(リスクを負う分、買い付け価格は安くなります)といった方法がとられているそうです。

京で単館系映画館が集中しているのは、渋谷(12スクリーン)と銀座(11スクリーン)。渋谷の方は、bunnkamuraのル・シネマを除けば、客層は子供がほとんど。大人の貴方には、銀座の単館をお奨めいたします。

渋谷スペイン坂の上に1986年に誕生した『シネマライズ』(220席と303席の2館)は、単館界の武道館。同じ単館でもここで上映される映画はビデオになったときの売れ方が違うと言われ、配給会社はみんなここでの上映を狙っています。

渋谷『シネ・ラ・セット』(40席)は、東急デパート本店向かい、『シネ・アミューズ』と同じビルの3Fに2003年8月にできた映画館。入場券はワンドリンク付き。前3列が固定されないソファーで、前にテーブルが置かれているのがユニーク。

■最近設立された主な配給会社
会社名設立代表的な配給作品得意ジャンル
アーティストフィルム2001年『パンチドランク・ラブ』 『ムーンライトマイル』泣かせ系
ムービーアイ・エンタテイメント2000年『ヤンヤン 夏の想い出』 『藍色夏色』アジア映画
M3エンタテイメント1997年『デュカネ 小さな潜水夫』 『ドック・スター』ファンタジー系
クロックワークス1997年『少林サッカー』 『地獄甲子園』はちゃめちゃ系
キネティック1995年『サルサ!』 『エトワール』芸術系
ビターズ・エンド1993年『かさぶた』 『僕は歩いて行く』少年努力系
アルバトロス1991年『アメリ』 『えびボクサー』不思議系
アートボート1990年『完全なる飼育』 『チェーン』官能系&ホラー系
クレストインターナショナル1990年『理想の結婚』 『恋の力学』恋愛系


■単館映画館一覧(映画ファンなら全館制覇されてはいかが?)
場所劇場名座席数過去の代表作品オープン電話



シャンテ・シネ226『ウォーターボーイズ』19873591-1511
226『ベルリン天使のうた』
192『フル・モンティ』
シネスイッチ銀座273『ニュー・シネマ・パラダイス』19873561-0707
182『ライフ・イズ・ビューティフル』
銀座テアトルシネマ150『ユージュアル・サスペクツ』19873535-6000
銀座シネパトス200『ズーランダー』19883561-4660
144『ジェイソンX』
81『シベリア超特急』
銀座シネ・ラ・セット159『ブラス!』19963212-3761
日比谷スカラ座183『クリスティーナの好きなコト』20013591-5358



ユーロスペース75『ゆきゆきて、神軍』19823461-0211
106『桜桃の味』
シネセゾン渋谷221『es』19853770-1721
シネマライズBF220『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』19863464-0051
2F303『桜桃の味』
ル・シネマ150『夏至』19893477-9264
126『エトワール』
シネ・アミューズイースト132『ノーマンズ・ランド』19953496-2888
ウエスト129『Jam Films』
シネクイント227『バッファロー’66』19993477-5905
シブヤ・シネマ・ソサエティ104『奇人たちの晩餐会』19993496-3203
渋谷シネ・ラ・セット40『白百合クラブ東京へ行く』20035458-9267

シネスイッチ銀座64『殺し屋1』20005766-0114
108『クロエ』


寿
恵比寿ガーデンシネマ232『ボウリング・フォー・コンパイン』19945420-6161
116『ロッタちゃん
はじめてのおつかい』


ヴァージンシネマズ
六本木ヒルズ アートスクリーン
110『CUBE2』20035775-6090

宿
新宿武蔵野館84『ガン&トークス』19943354-5670
84『スイート シックスティーン』
テアトル新宿219『HANA-BI』19673352-1846 
テアトルタイムズスクエア340『ドッグ・スター』20025361-1937
シネマスクエアとうきゅう224『薔薇の名前』19813202-1189
シネマミラノ209『フラッシュ・ダンス』19713202-1189

テアトル池袋162『アメリ』19803987-4311
シネ・リーブル池袋130『ジェラル・フィリップ特集』20003590-2126


岩波ホール220『宋家の三姉妹』19743262-5252


飯田橋ギンレイホール206『明日、陽はふたたび』19743269-3852


ポレポレ東中野10220033371-0088

中野武蔵野ホール73『博奕打ち』19873389-3301

キネカ大森52『ブルガサリ』19833762-6000


シネマ・下北沢50『ざわざわ下北沢』19985452-1400
更新日2003年10月26日
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