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 東京に最初のお化け屋敷が造られたのは1830年。大森の瓢仙という医師が、自宅の庭の小屋の壁にお化けの絵を描き、一つ目小僧などの人形を置いたところ、遠くからも見物客が押し寄せたと言います。
 その後、お化け屋敷の興行はテキ屋の仕事となり、大正年間には、日本中の祭礼に広まり、やがて遊園地の中に場所を借りて一年中興行を行うようになります。

小平一雅  こうした日本古来のお化け屋敷は、一時はディズニーランド式の大型アトラクションに押され、人気も下火でしたが、遊園地の閉鎖が相次ぐ不況の昨今、簡単に作れて効果も大きい点が注目され、ノウハウがテキ屋からアミューズメント企業の手に移り、日本中の遊園地に復活しています。今回は、そんなお化け屋敷に注目してみました。
化け屋敷には、1.客が中を歩いて進むウォークスルー式、2.乗り物に乗って進むライド式、3.椅子に座りヘッドホンで音を聞く3Dサウンドシアター式、の3つの型式があります。
3つの中で一番古いのは、当然、ウォークスルー式。この型のお化け屋敷は、暗闇で顔に触る湿ったコンニャク、「ヒュードロドロ」の効果音、人形のお化けの間にこっそり混じった人間が扮したお化け−−等々、江戸の見せ物小屋以来の、日本独自の演出技法が確立されてきました。

ころが、1983年、大仕掛けのライド式アトラクションをずらりと揃えた東京ディズニーランドがオープンすると、ウォークスルー式はいきなり時代遅れになります。
 ライド式の利点は、お客の動きをコントロールできるので、短時間に大人数を捌けることと、いったん作ってしまえば人件費が安上がりということ。その利点を知った日本の遊園地は、バブル景気に乗って資金をつぎ込み、お化け屋敷をライド化。ライドにできないまでも、人間の代わりにロボットのお化けを使うロボット・ウォークスルーに切り替えます。

ブルがはじけ、日本中が夢から覚めた1992年、後楽園ゆうえんちが、夜の営業をルナパークとしてリニューアルしたとき、少ない予算で新しい呼び物を作らなければならない苦しい台所事情の産物として、園内に昔からあったヒュードロドロのお化け屋敷を、夜の間だけ、ツルツル頭の舞踏集団、大駱駝艦(だいらくだかん)のダンサーをお化け役として雇い、新しいお化け屋敷として宣伝したところ、意外な人気を呼びます。
 昔と違って、今のお化け屋敷は、客の身体に指一本、コンニャク一つ触れることができないため(そんなことをしたらすぐに訴えられるご時世です)、ルナパークは、カップルを手錠で繋いだり、赤ちゃんの人形を抱いて歩かせたり、車椅子に座った女性を後ろから連れの男に押させたり--毎年毎年、新手奇手を次々に考案。ユニークな企画性と、同じアイディアは翌年は二度と使わないエルブジ的な潔さで、またたく間に、お化け屋敷界のトレンド・リーダーに成長します(趣向は変えても、お化け役には毎年必ず大駱駝艦のダンサーを起用しているそうで、年々技術が磨かれ、怖がらせ方が上手くなっているそうです)。

際、機械がヒトを驚かすライド物やロボット・ウオークスルーには予定調和的な恐怖しかないのに対し、ヒトがヒトを驚かすアクター・ウォークスルーのお化け屋敷には、いつ何が起こるかわからないナマの迫力があり、恐怖感は数段上。しかも、アクター・ウォークスルーは、大人数は捌けないものの、少ない投資で作ることができ、リニューアルも簡単。不況下の遊園地にとってはいいことづくめ。そのため、近年、再びあちこちに作られています。

の頂点が、1999年に富士急ハイランドにできた戦慄迷宮でしょう。客に懐中電灯を持たせて中を歩き回らせる趣向のこのアトラクション、ギネスも認める世界最長のお化け屋敷だそうですが、長いだけでなく、恐怖の演出にも優れており、わざわざ遠出してでも出かける価値があります。

クター・ウォークスルー式のお化け屋敷のもう一つの利点は、古くなれば古くなるほど、うらぶれた感じが出て、今度は本物のお化けが出るという評判が立ち、それはそれで人気が出ること。ここ数年、よみうりランドのお化け屋敷は「笹の間に本物の幽霊が出る」との噂がしきりですし、浅草の花やしきに至っては、自分で「実は昔、ここには動物の見せ物小屋があり、関東大震災のときに可哀相な死に方をしており…」と、宣伝しているほどです。

の夏は、貴方も東京じゅうのアクター・ウォークスルーのお化け屋敷を回って、恐怖の演出技法を比べてみてはいかがでしょう。この型式のお化け屋敷は、男の客が彼女の前でいいところを見せようと、出てきたお化けに殴りかかる事件が頻出しており、入口で必ず「アクターには絶対に触れないでください」という注意があるので、事前に簡単に区別することができます。

中央自動車道河口湖インターそばの富士急ハイランド(TEL: 0555-23-2111)の「超・戦慄迷宮」は、地上2階建て(一部中2階)、延べ床面積は約3000u。歩行距離616m。あまりにも長いので、逃げ出したくなったヒトのために、途中で脱出できるチキンウェイも用意されています。

『ラクーア』(TEL: 3817-4173)は、東京ドームの隣りのコースターランドの跡地に2年かけて建設された、飲食・物販・遊戯施設・温泉をまとめた複合商業施設。入場796円、ウォークスルー式全長200m、体験時間約10分のおばけ屋敷、『ザ13 ドアーズ』がウリです。

浅草花やしき(TEL: 3842-8780)のお化け屋敷は、関東大震災で悲惨な死を遂げた見せ物小屋の動物の霊が出るとの噂。一昨年からは、このウワサを逆手にとり、戦時中の地下防空壕に下りて、真相を究明するというテーマにリニューアル。やるもんです。
もしもレトロな見せ物小屋式お化け屋敷に興味があれば、毎年、8月第4土日に開催される麻布十番祭りで、網代公園に作られるお化け屋敷にお運びください。木戸銭は500円。東京で日本古来のお化け屋敷が見られるのはここだけです。


パーク名 アトラクション名 形式 オープン年 備考
東京ドームシティアトラクションズ (旧後楽園ゆうえんち) The 13 Doors アクター・ウォークスルー 2003年 毎年テーマが変わる、後楽園恒例のお化け屋敷
ゾンビパラダイス ライド 1992年 ゾンビがテーマ。恐くない
としまえん バイオハザード 4Dエクゼクター シアター 2001年 ゲーム「バイオハザード」と同じテイスト
ミステリーゾーン ライド 1966年 自動車型の2人乗りライド
お化け屋敷 ロボット・ウォークスルー 1965年 1972年に移転改装。古寺、墓場、地獄のラインナップ
富士急ハイランド 超・戦慄迷宮 アクター・ウォークスルー 2003年 2003年に移転改装。7?8年前に閉鎖されたとある病院というテーマ
ゲゲゲの妖怪屋敷 ロボット・ウォークスルー 1997年 水木しげるが監修。機械仕掛けのキャラが総出演
処刑の館 サウンドシアター 1994年 3Dサウンドの処刑ホラー
よみうりランド お化け屋敷 ロボット・ウォークスルー 1985年 オーソドックス。 笹のところにホンモノが出るとの噂
恐怖の館 ロボット・ウォークスルー 1988年 西洋風。恐くない
八景島シーパラダイス 天国と地獄 アクター・ウォークスルー 2003年 期間限定。 悪魔達が儀式を行う洋館に潜入
よこはまコスモワールド 幽霊堂 ライド 1999年 ライドなのに完全な和風
恐怖の館 Dr.エドガーの呪いのコレクション アクター・ウォークスルー 2003年 マッドサイエンティストの Dr.エドガーの洋館に潜入
花やしき お化け屋敷 ロボット・ウォークスルー 1984年 2000年に改装
スリラーカー ライド 1951年 子供向け。 1978年に改装
ゴーストの館 サウンドシアター 1994年 3Dサウンドホラー
ナムコ・ナンジャタウン 地獄便所 サウンドホラー 2000年 ヘッドフォンで怪談を聴く便所型の個室。 超変わりダネ
地獄旅館 ロボット・ウォークスルー 1999年 脈拍測定機能付きの 「能面蟹」を持って歩く
東京ジョイポリス ホラーライド ライド 1998年 コースター感覚の お化け屋敷
かごめの唄 サウンドシアター 2003年 3Dサウンドホラー。 モーニング娘。が本人役で声の出演
更新日2003年8月10日
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