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 2003年の日本は、第3次焼酎ブームの真ッ最中。ちなみに、第1次のブームは70年代初め、薩摩白波のテレビCMによってもたらされた焼酎6水4の「ロクヨン」ブーム。第2次は、80年代半ばの缶チューハイ・ブーム。そして、今は、原材料の味わいが残る乙類焼酎(別名本格焼酎)のブーム。

小平一雅  そもそも焼酎は、ポリフェノールはワインより多く(=一部の芋焼酎)、血栓を溶解する作用があり、通風の原因となるプリン体はほとんどゼロ(同じ量でビールの27分の1)。低カロリーで、アルコールが日本酒のように栄養素と結びついていないので分解が速く酔いが残らない等、健康面ではいいことずくめ。
 今回は、そうした健康ブームに乗って東京に増えつつある、焼酎バーについてお話ししましょう。
酎のルーツは、ウィスキー(12世紀〜)やブランデー(13世紀〜)より古い歴史を持つタイの蒸留酒ラオロン(10世紀〜)。このラオロン酒は、15世紀頃、海路を通って、当時海洋国家として繁栄していた琉球王国に伝来(沖縄の泡盛の原材料はタイ米。タイから伝わったことは明らかです)。そして、奄美大島(ここではサトウキビを原料とした黒糖焼酎が発達します)を経て、薩摩に伝来します。
 薩摩では昔から芋は年貢徴収の対象外だったため、農民は積極的に芋を栽培していましたが、水分の多いサツマイモは日持ちが悪く、収穫後すぐに加工しなければならない事情がありました。そこに蒸留の技術が伝わったため、薩摩では、芋を原材料とした蒸留酒が発達。その技術が周辺の熊本・大分・宮崎に伝わり、芋だけでなく、米・麦・胡麻・しそなど様々な穀物で蒸留酒が作られるようになり、九州南部が一大蒸留酒王国となってゆきます。 焼酎専門店に行けばすぐわかることですが、今日、東京で飲まれている焼酎の9割は九州・沖縄・奄美産。つまり、焼酎は南国の地酒なのです(ちなみに、『泡盛』は沖縄産、『黒糖焼酎』は奄美諸島産の焼酎だけが名乗れる名前。焼酎は、シャンパンのように原産地呼称が定着しています)。

ころで、一般に酒の蒸留法には『連続式』と『単式』の二つの方法があります。
 連続式とは、蒸留酒を工業製品として大量生産するために19世紀に開発された製法で、単式の蒸留機を複数並べて連続的に蒸留し、アルコール純度をどんどん上げてゆく方法。この方法で蒸留された濃度の高い原酒を割り水して作られる焼酎が、甲類焼酎です。甲類焼酎は、純粋アルコールにより近く、雑味のないスッキリした味わいが特徴。缶チューハイや居酒屋でのサワー・ブームの立役者が、このタイプの焼酎です。
 一方、単式蒸留は、中世から伝わる原始的製法。この製法で作られた蒸留酒は、味や臭いにクセがあり、万人好みとは言えないものの、素材の味が残っており、味わい深いのが特徴。焼酎で言うと、乙類焼酎(別名・本格焼酎)がそれ。ちなみに、人気のシングルモ ルトウィスキーも蒸留法は単式です。

らに、同じ単式蒸留にも、圧力を下げて沸点を低くすることで、生産量を増やす減圧蒸留(いいちこや二階堂等がそれ)と常圧蒸留とがあり、前者は味がスッキリしている反面、味がちょっともの足りなく、後者は味全体にクセがある反面、原材料の旨味は強く出ます。
 沖縄の泡盛も、奄美の黒糖焼酎も、鹿児島の芋焼酎も、製法はすべてこの常圧蒸留。今の焼酎ブームのキーワードは、「常圧蒸留の乙類焼酎」です。

うした乙類焼酎ブームを背負って、ここ1〜2年、東京に急速に増えているのが、数百種の焼酎を揃えた焼酎専門のバー、焼酎バー(別表)です。焼酎は、ワインと違って開栓後も保存がきくので、商売として効率がいい上、客の側から見ると、さまざまな原料、さまざまな味の酒を、ムチャムチャ安く飲める(値段はシングルモルトの3〜4分の1!)というメリットがあります。

た、焼酎は食事中も飲むことができる珍しい蒸留酒でもあります。焼酎は初めから原酒を水で割ってあるので、アルコール度は25?30%と低く、それを水やお湯で割って飲めば、濃さはワインや日本酒とほぼ同じ。そして、同じ魚介料理でも、たとえば刺身には米か麦の焼酎をキンキンに冷やして、イカの沖漬けや酒盗等のクセの強い料理には湯で割って香りを立てて、というふうに、ワイン並みに色々考えて料理に合わせる愉しみがあります。

酎バーで一番人気があるのが、芋焼酎。最近は、「できるだけ芋っぽいのを」と注文する客が増えているとか。昔は常圧蒸留の芋焼酎は、クセが強くて敬遠されていたのですが、ワインやシングルモルトのブームを経て、日本人もクセのある酒の旨さをわかってきたことと、濾過や蒸留の技術が進んで、同じ常圧の芋でも、えぐ味が取れてきたことが人気の理由。さらに、最近は少し寝かした熟成焼酎のブーム。熟成の方法も年々進歩しており、焼酎の旨さは今も進化中と言えます。
 タイから鹿児島につながる海の焼酎ロードを思いながら、東京の焼酎バーで南国の酒に酔うというのも、一興ではないでしょうか。


主な焼酎バー 一覧表
店名 場所 電話 オープン 種類 座席数
胡桃 恵比寿 3710-3383 97年7月 約100種 18席
EN-ICHI 西麻布 3499-0233 99年6月 約730種 40席
座○楽 三宿店 3414-2601 01年3月 約400種 15席
ゆらり草庵 新橋 3503-2266 01年4月 約120種 56席
眞平 六本木 3478-0490 01年5月 約170種 15席
古典 円山町 3496-1899 02年6月 約100種 15席
五楓 広尾 5791-9756 02年12月 約80種 70席
路地 新宿 3352-0080 02年12月 約100種 96席
GALALI 表参道 3408-2818 02年12月 約30種 35席

『GALALI』(TEL:5467-2818 渋谷区神宮前 3-6-5)は、元・際コーポレーション出身のスタッフが、青山の住宅街の築40年の木造一軒家を改装して作った焼酎バー&ダイニング。1Fはカウンター、2Fはテーブル席の計35席。譲り受ける直前まで人が住んでいた店内は、柱や梁がそのまま生かされ、京都の町屋を思わせる和テイストの落ち着いた雰囲気。料理とは別に、厳選された12種の天然塩が無料で提供され、ジャズをBGMに、塩を肴に焼酎を楽しめます。無休で、営業は朝5時まで。

『Sho-Chu AUTHORITY』(TEL:5537-2105 カレッタ汐留B2F)は、売場面積264m2に約3000アイテムが並ぶ焼酎・泡盛専門店で、品揃えは日本一。ほとんどの焼酎がその場で試飲可能で、初心者でもスタッフが親切に相談に乗ってくれます。

『EN-ICHI』(TEL:3499-0233 港区西麻布4-10-3ヴィラ麻布1F)は、かの『ウォッカトニック』が出した焼酎バーの先駆け的店。品揃えは80種類からスタートして今は何と730種。1杯400円前後。丸ビル内の『しばてんRanbiki』も姉妹店です。

日経が選んだ『専門家が薦める焼酎ランキング』で、左から1位の佐藤(芋)、2位の朝日(黒糖)、3位の萬膳(芋)、4位の村尾(芋)。10位までのうち6銘柄までが鹿児島県の常圧蒸留の芋焼酎でした。

『座○楽』(TEL:3414-2601世田谷区三宿1-19-13)は15人で満席の小さな店ですが、焼酎の品揃えは400種! 和テイストの内装もいい感じ。知識豊富な店のヒトが相談に乗ってくれるので、初心者にうってつけです。本店は代官山(?3462-7517)。

更新日2003年2月23日
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