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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ
 ウィスキーは、銀座のクラブでお白粉臭いおねえさんが、水でジャブジャブ薄めて出すまずい酒というイメージしかありませんが、そんな中で唯一イメージがいいのが、ワインのように味や香りが産地によってハッキリ異なるシングルモルト。5年前の酒税法改正で価格が15%ほど安くなったこともあって、シングルモルトはここ5年間で急激に東京に広まりました。

小平一雅  今回は、そんなシングルモルトを愉しむための基礎知識をお話いたしましょう。まず第一歩は言葉から。スコットランドで今も使われているゲール語で、乾杯は「スランジーバー」と言います。シングルモルトを飲むときは、「乾杯」でも「チアーズ」でもなく、「スランジーバー」で始めてください。それでは、ご一緒に、スランジーバー!
こ5年間で、東京じゅうに広まったシングルモルト・ウィスキーですが、そもそも一般のウィスキーとどこが違うのでしょう?
私たちが日常「ウィスキー」と呼んでいる酒は、2種類のウィスキーを混ぜて作られます。すなわち、発芽した大麦のみを発酵させて作る『モルト・ウィスキー』と、主にトウモロコシを発酵させて作る『グレン・ウィスキー』の2つです。前者は、香りの強い個性豊かな味。後者はソフトで飲みやすい味。一般のウィスキーは、この2つのウィスキーをブレンドすることから、『ブレンデッド・ウィスキー』と呼ばれます。

ぜ、2つをブレンドするかと言うと、一つは価格上の理由です。作るのに手間がかかる『モルト・ウィスキー』は、高価なため、量産のきく安価な『グレン・ウィスキー』と混ぜ、コストを下げるのです。
もう一つは、味覚上の理由です。モルトは個性が強く、万人好みの味とは言い難いので、無個性でマイルドなグレンでのばすことで、飲みやすくするのです。
面白いことに、2つのウィスキーを混ぜると、いい方の味が前面に出ると言われています。たとえば、安いホワイトを1本買ってきて、1杯分だけ中身を捨て、代わりに高いマッカランを入れると、どういうわけか、入れた分量以上にマッカランの味が前面に出て来るのですね(あら、お得ね、とお思いの方のみ、お試しください)。つまり、ブレンドというのは、味を作る上で重要な意味があることなのです。但し、ブレンドされたウィスキーは飲みやすい分、個性に欠け、どれも似たような味わいになりがちなことは否めません。

日、スコットランドには約120の蒸留所があり、それぞれが個性豊かなモルト・ウィスキーを作っています。それらのモルト・ウィスキーの95%は大手メーカーに買い上げられ、他の蒸留所のモルトやグレンと混ぜられ、ブレンデッド・ウィスキーとして売られます。が、スコットランドの誇り高きウィスキー作りの職人たちが、それだけで満足できるはずはありません。彼らは、自分たちの蒸留所のモルトの味を世に問うため、残りの5%をそのまま自分たちの手で瓶詰めし、蒸留所の名前をつけて売っています。それが『シングルモルト』です。シングルモルトとは、すなわち「一つの蒸留所のモルトだけで作られたウィスキー」という意味なのです。

コットランドは、下の地図に示したように、ハイランド、ローランド、アイラ島の3つの地区に大別され、シングルモルトは、その3つの地区に応じて、『ハイランド・モルト』『ローランド・モルト』『アイラ・モルト』の3つに分類されます。こうした地域による分類は、そのまま味の特徴の分類でもあります。
『ローランド・モルト』は、ピート(後述)でいぶすことが少なく、蒸留の回数が普通3回と多いのが特徴で、クセがなくピュアな感じで飲みやすい味。私たちがイメージするウィスキーに一番近い味。日本では、右図に示したグレンキンチーがよく知られています。
『ハイランド・モルト』は、芳醇できらびやかな味と香りが特徴。たとえば、シェリー酒の樽だけを使って熟成されたマッカランは、シングルモルトの王者と称されています(シングルモルトの熟成には、しばしばシェリー樽とかバーボン樽とかが用いられます)。
そして、『アイラ・モルト』の香りと味は、初心者でも一度で覚えてしまうほど強烈。それはなぜか? 秘密はピートにあります。

通、ウィスキーは、麦芽の成長を止めるために、ピートと呼ばれる『泥炭』(=石炭になる前の状態の炭)を燃やし、大麦を煙りで燻して乾燥させてから発酵させるのですが、その過程で、ウィスキー独特のスモーキーな味わいが生まれると言います。で、問題のアイラ島ですが、この島は海底が隆起してできたため、島の地下に蓄積されたピートがすべて海藻でできており、しかも量が豊富にあるため、『アイラ・モルト』はスモーキーさがハンパではなく、しかも潮の匂いがするのです。代表的な銘柄は、ボウモア、ラガヴリンあたりでしょうか。

のように、産地によって味と香りの特徴が明確に違うという点で、シングルモルトはワインとよく似ています。熟成が長いほど味がまろやかになる点も、テイスティング・グラスに注いでしばらくすると香りや味が開いてくる点も、ワインとまったく同じです(シングルモルトは、水を少量加えてやると、より香りが開きやすく、おいしいそうです)。
シングルモルトの味は、確かに万人受けはしないかもしれませんが、一度受け入れたら、やみつきになる深い味です。最近は下表やイラストに掲げた通り、シングルモルトを飲み比べさせてくれる店もたくさんできていますので、それらの店でぜひ一度お試し下さい。
当コンシェルジュとしては、一番気軽な広尾の『ヘルムズデール』と、その支店『イニッシュモア』をお薦めしておきます。



モルト・ウィスキーの聖地スコットランドは、右の地図のように「ハイランド」「ローランド」「アイラ島」の3つに分かれ、さらに「ハイランド」の真ん中を流れるスペイ川流域の「スペイサイド」地区は、40もの蒸留所が集中しているため、独立した地区として扱われます。


ウィスキー・キャット
スコットランドのシングル・モルトの蒸留所では、発酵前の麦芽を食べに来るネズミを退治するための、ウィスキー・キャットと呼ばれる猫が飼われています。あなたもシングル・モルトを愉しむときは、猫とご一緒にどうぞ。



ヘルムズデール広尾3486・422018:00〜6:00
無休
スペイサイドウェイ自由が丘3723・780719:00〜4:00
火曜休
カフェ・ホワイエ赤坂3585・923916:00〜23:00
日曜休
バー・ブルー恵比寿3280・929820:00〜3:00
日祝は不定休
2ndラジオ青山3405・523319:00〜2:00
日祝休
赤坂グレース赤坂3583・608018:00〜2:00
日祝休
バー・サンセット二子玉川3709・171718:00〜3:00
祝休
イニッシュモア恵比寿5791・382417:00〜2:00
(木・金〜6:00)
無休
(向かって左から)
スプリングバンク
キャンベルタウン産。コクがあり、しつこくないピート香

タリスカー
スカイ島産。ハイランドとアイラ島の中間の味。

ボウモア
アイラ島産。強いピート香。かすかな潮の香り。

グレンキンチー
ローランド産。クセがなく飲みやすい。一番普通のウィスキー

マッカラン
スペイサイド産。ハイランド地区の中でも57の蒸留所が集中。その代表がこれ。

産地毎のシングル・モルトの味を味わい分けるのに一番適しているのが、ティスティング・グラス。それもストレートではなく、アルコール度数20度前後にした1:1の水割りの方が、香りや味の違いがよくわかると言われています。

日赤病院の向かいのビルの2階の「ヘルズデール」は、ティスティング・グラスで気軽にシングル・モルトを飲み比べさせてくれる本格的イングリッシュ・パブ。今回のイチ押しです。

更新日2002年11月10日
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