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 夏場のデートにうってつけなのが、水族館。暗いし、見た目が涼しげだし、冷房はきいてるし、動物園と違って臭いもないし、魚ってヌメっとしていてなんかエロチックだし――例えば、池袋のサンシャイン水族館は、7/20〜9/1の夏休み期間は、普段なら夕方6時までの営業時間を夜の8時半まで延長し、入り口で一人一本づつ懐中電灯を渡して、中を照らして回って貰う『ナイトアクアリウム』という、味のあるイベントを実施しています。

小平一雅  そもそも、魚の生殖行為には、夕方から始まるものが多いので、夜の水族館は期待できますよ〜。え、何?そんなことは、誰も期待していない?
 ま、それは別にしても、夏は水族館で涼まれてはいかがでしょうか?
 今回は水族館の特集です。
ブル絶頂期の日本では、有名建築家が手がける大規模水族館の建設が、なぜか大ブーム。わずか数年の間に、葛西臨海水族園(89年)、福岡の海の中道水族館(89)、大阪天保山の海遊館(90)、しながわ水族館(91)、八景島シーパラダイス(93)と、日本全国に誕生しました。
 が、バブル崩壊後はどこの水族館も入場者数が右肩下がり。たとえば、関東最大の葛西臨海水族園では、ピークの90年には年間で377万人いた入場者が、10年後の2000年には6割減の156万人にまで減少。但し、同水族園の建設時の年間入場者見込みは150万人。つまり、入場者数は今が適正なのであって、バブルの頃が混み過ぎだったのです。今の水族館は、10年前に比べてゆっくりと回ることができ、よりデート向きになったと言えます。

こ数年で、水族館が一番大きく変わった点は、展示されている生き物が、魚だけとは限らなくなったこと。器具や飼育技術の進歩により、これまでは水の中の微量成分の変化にもすぐに影響を受けて死んでしまっていたサンゴ、イソギンチャク、ヒトデといった無脊椎動物も飼えるようになり、マリン・アクアリウム(水の中の生態系を自然の通りに再現すること)が可能になりました。

らに、従来の水族館は、汽車窓型と言って、壁に埋め込まれた水槽の中に1種類の魚を入れた、文字通り、汽車の窓から外の景色を見るような展示方法をとっていたのですが、今は、一つ一つの水槽が格段に大きくなり、一つの水槽の中に、同じ地域に棲む魚を数種類一緒に入れ、しかも、水は水槽の下3分の1くらいまで――水中を横からも上からも見えるようにして、水面より上の岩とか木では、魚類以外の同じ地域の水辺のカエルやカメ、トカゲ等まで一緒に飼う、いわゆる環境展示が主流になってきています。

えば池袋のサンシャイン水族館では、7年前のリニューアル以後、アマゾン川、コンゴ川、メコン川といった熱帯のジャングルの川辺の生き物を、水面下の魚だけでなく、陸上の両棲類や爬虫類、木の上の鳥や、果ては猿まで、まとめて同じケースの中で飼育。水の中にばかり目を奪われていると、木の上の飾り物だと思っていたイグアナが突然動き出して、「うわっ、本物!」と驚かされたりします(爬虫類が苦手な方は、最近の水族館に油断して行くと、悲鳴を上げることにもなりかねませんので、ご注意ください)。

た、多くの水族館は、水槽の裏側も見学できるガイド付きツアーを無料で開催しています。参加人数はどこも先着10名前後で、日に4回程度開催。水族館というところは、捕獲した生き物を新しい閉鎖環境に慣らすために、バックヤードで多くの生き物を飼育しているもので、例えば、葛西臨海水族園では、表に展示されているのは540種なのに対し、裏に飼われている生き物は850種にのぼります。水族館を残らず堪能しようと思ったら、ぜひ、こうしたツアーにご参加ください。

のほか、最近は、夜の水族館を見学するナイトツアーも盛ん。冒頭に紹介した通り、サンシャイン水族館は、お盆の前後、営業を21時半まで延長してますし、葛西臨海水族園でも、毎年10月、夕方間近に産卵行動をとる魚を中心に観察する『秋の夜長の水族館』というイベントを大人を対象に実施(こちらは往復ハガキでの申し込みです)。そうでなくても、水族館が一番空くのは、閉館間近の夕方だそうですので夕方を狙って行ってみてください。

本では、水族館というと、見せ物小屋の延長のアミューズメント施設と見られがち。貴方も、たとえば美術館と比べたら(あっちも冷房がきいていて、静かです)、水族館はお子さま向けの幼稚な場所とお思いでしょう。が、美術館のバックに「芸術」があるように、水族館のバックには「海洋生物学」があります。水族館の職員はみんな、学芸員と潜水士の資格を両方持った(水槽を洗うのに、潜水士の資格は不可欠だそうです)インテリ揃い。魚の生態には、飼育して観察してみないとわからない点が多々あり、水族館は、珍しい魚を見せ物として展示するエンタテインメントの場であると同時に、その魚の生態を研究するかなりアカデミックな場でもあります。
 日本の皇室が、昭和天皇を初めとして、世界的な海洋生物学者を何人も輩出していることからもおわかりの通り、この学問は元々ハイソなもの。貴方も、美術館に出かけるようなアカデミックかつハイソな気持ちで、水族館デートに出かけください。魚たちの見え方がきっと違ってきますよ。

『サンシャイン国際水族館』(サンシャインシティ、ワールドインポートマート10&11F)は、ビルの上の2フロアだけの小さな水族館ながら、展示方法の工夫には最も意欲的。魚を飼うのに使う海水は、八丈島に貨物を運んだ貨物船が、空になった帰りにバランスを保つために船内のタンクに取り込んできた海水を買っているそうです。冒頭で紹介した『ナイトアクアリウム』は9/1まで。18時からの入場で料金は昼間と同じ1600円。

従来の1水槽1魚種の『汽車窓型展示』(左)
最近流行の、水の中だけでなく周辺の生態系すべてを見せる『環境展示』(右)

葛西臨海水族園(江戸川区臨海町6-2-3)の設計者の谷口吉生は、現在改築中のMoMAを設計した超大物で、建物だけで見る価値十分。展示方法も斬新で金がかかっています。隣接する臨海公園に去年、日本最大の観覧車ができたおかげで、入場者数が初めてUPしたそうです。

八景島(横浜市金沢区八景島)のアクアミュージアムは、高さ8メートルの大水槽と、イルカやアシカのショウが見られるスタジアムが有名ですが、展示技術的には、岩山の滝から川、沼へと、亜熱帯の水辺の生態系を再現した上図のコーナーが要注目。

東京タワー水族館(東京タワー1F)は、約5万匹の世界の珍しい魚を生息地別に展示し、その場で即売も。従って、各水槽に魚の値段が表示されており、水族館と言うよりは巨大な熱帯魚店といった趣き。えさ、水草、飼育器具なども販売しています。


名称 開園年 面積 魚の種・数 営業時間/定休日 入場料
(一般)
葛西臨海水族園 3869-5152 1989年 約7900m2 540種 約6万2千点 9:30〜17:00 水休 700円
サンシャイン国際水族館 3989-3466 1978年 約7796m2 750種 約3万7千点 10:00〜18:00 無休 1600円
しながわ水族館 3762-3431 1991年 約3700m2 450種 約1万点 10:00〜17:00 火休 1100円
井の頭自然文化園 0422-46-1100 1942年 約580m2 41種 約4千点 9:30〜17:00 月休 400円
東京タワー水族館 3434-8833 1978年 約76m2 900種 約5万点 10:00〜21:00 無休 1000円
アクアミュージアム 八景島シーパラダイス 045-788-9608 1993年 約17960m2 500種 約9万点 10:00〜20:00 無休 2450円
江ノ島水族館 0466-22-8111 1954年 約2500m2 300種 約1万点 9:30〜17:30 無休 1890円
京急油壺マリンパーク 0468-81-6281 1968年 約3600m2 930種 約1万4千点 9:00〜17:00 無休 1700円
※土・日は営業時間が延長する場合があります。要問い合わせ
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