ゴア・トランス、アーユルベーダ、カレーにヨガにヘンなミュージカル映画。ここ数年、東京の若者文化はインド・ブーム。行きたい外国の上位にインドがランクされるようになりました。
ことに、昔からなじみが深いのがカレーです。明治初期にイギリス経由で日本に伝わったカレーは、初めは西洋料理の一つとみなされていましたが、インド独立運動の折にインドから亡命してきたラス・ビハリ・ボース氏を、新宿中村屋の創業者、相馬愛蔵・黒光夫妻がかくまったことから、1927年、中村屋が純インド式カリーを発売。これが日本のカレーのスタンダードとなります。
今や日本人は、1年間に平均64回カレーを食べる、世界有数のカレー愛好者。でも、そのわりには、インドについては、何も知りません。今回は、未だ知られざるインドの食文化について考えてみました。
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安
あがりでしかも日本人の口によく合うインド料理は、バブル崩壊以降の東京で静かな人気を呼び、店は着実に増えつづけています。が、インドの食文化の実体は日本ではほとんど知られていません。貴方も、イタリー料理の南北の違いはご存じでも、インド料理の南北による違いはご存じないのではありますまいか。
例えば、インド人の8割を占めるヒンドゥー教徒は、牛と豚を食べることができせん(インドのマクドナルドはマトン100%です)。ヒンドゥーの中には菜食を義務づけている宗派も多く、中にはイースト菌が入っているからパンも食べない(菌は動物なのです!)というほど厳格な宗派もあります。インドの商人は、華僑同様、世界中に進出していますが、彼らは宗教的に食べ物が限られるため、世界中の大都市にインド料理店があるのです。
そ
うした菜食主義者は、インドでも熱帯の南部に多く、従って、南インドの料理は野菜が中心。唐辛子とマスタードシードを多用するので味は辛めで、汗で流れ出てしまう水分を補うため、全体に水っぽい感じ。南インドの主食は米ですが、水っぽい料理はその米にかけて食べるのに適しています。
一
方、北インドは、17世紀に隣りのペルシャから侵入してきたムガール帝国に支配されていたため、アラブの影響がたいへん強い土地柄。その料理は、モグライ(=ムガール)料理と呼ばれ、アラブ料理同様、羊や鶏などの肉類がふんだんに使われます。タンドールと呼ばれる窯で焼かれる肉料理も北インド独特のもので、主食のナンもその窯で焼かれます。唐辛子はパウダー状にして使うのが主流で、南に比べると辛さはマイルド。料理はナンに乗せて食べられるよう、固形に近いドロドロな感じ。米はあまり食べられていません。従って、北インド料理の店では米よりナンを注文するのスジです(ちなみに、東京のインド料理店の80%は、北インド料理の店です)。
インドの地方は、この他にボンベイ(映画やファッションの中心で、インドで最もオシャレな街)を中心とする西インドと、最大の人口を抱えるカルカッタを中心とする東インドの、全部で4つ(23州)に分かれ、それぞれで文化も料理も異なります(表参照)。
ひ
と口にインド料理と言っても、インドは国土も人口も日本の9倍ある大国で、その上、日本と違って食糧を輸入に頼らず100%自給自足で賄っている農業国でもあるわけですから、日本料理をひとことでは語れない以上に、インド料理をひとことで語ることはできないのです。
そうした地方によって違うインドの料理の特色を、敢えてひとことでまとめるなら、それはスパイスをふんだんに使う、ということ。既に雑誌で何度となく語られていますから、貴方もご存じのことと思いますが、インドには「カレー」という料理はなく、日本人がカレーと呼んでいるのはインド特有の香辛料風味のこと。それは、日本人にとっての味噌・醤油同様、味つけの特性みたいなもので、日本人がひとまとめにカレーとみなしているものも、インド人にとっては、それぞれが野菜炒めだったり肉の煮込みであったり、まったく別の料理なわけです。
イ
ンド料理の基本思想は医食同源で、スパイスは早い話が漢方薬。実際、中国の漢方薬は、元々インドから渡ったものです。
例えばシナモンは身体を温めるので風邪に効くとか、コリアンダーやクミンは身体を冷すので暑い日にいいとか、ターメリックは殺菌作用があるため傷口に塗るといいとか、クローブは虫歯に詰めると鎮痛剤代わりになるとか、カルダモンは食後に種を2〜3粒食べると匂い消しになるとか━━そういうことはインド人なら誰もが知ってること。
インドの主婦は、スパイスを1ケ月分まとめ買いし、キッチンでは、1週間ごとに大きな容器から小さいスパイス・ボックスに移し、それをその日の天候とか健康状態を考えて、毎日調合を変えながら、使ってゆくのだそうです。
各
家庭でスパイスの調合が違うように、店によっても、カレーの味は千変万化(一覧表参照)。敢えて、味のよしあしを申し上げるなら、当コンシェルジュは、西麻布のインド料理店『嶮暮帰』をイチオシにしておきます。シェフのサジュラン・ラホトラさんは、西インドのボンベイのタージマハール・ホテル出身ですが、作る料理は典型的な北インド料理。辛すぎない濃厚な味は絶品で、客層はいつ行っても、料理のコスト・パフォーマンスにうるさい白人のビジネスマンだらけ。東京一のカレー店はここと断言しておきます。
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MOTIは23年前に赤坂にオープンした最も華やかなインド料理店。ちなみに厨房が
ガラス張りになっているのは、日本のインド料理店だけの特徴だそうです。
田中康夫長野県知事イチオシのタージ(赤坂)は、長く銀座『アショカ』のマネージ
ャーを務めていたアビシェーク・ロイさんが75年からやっている、大人の雰囲気の店。
広尾日赤商店街の『ビンディ』は最も食べやすい家族的インド料理店。奥様のミラ・メータさんはTVや雑誌等でも活躍中。デリバリーもやっています。
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| 地域 |
中心の街 |
気候 |
主食 |
調理に使う油 |
カレーの特徴 |
| 北インド |
デリー |
冬は寒い(名古屋とほぼ同じ緯度) |
ナン |
マスタード油※ |
肉を多用、ドロドロで固体に近い感じ。 |
| 西インド |
ボンベイ |
亜熱帯 |
ナンと米併用 |
ピーナッツ油 |
脂っこくない。日本人の口にはわりとよく合う。 |
| 東インド |
カルカッタ |
四季がある |
米 |
マスタード油 |
魚を多用。ヨーグルトやトマトを使うので甘酸っぱい。 |
| 南インド |
マドラス |
熱帯 |
米 |
ココナッツ油 |
野菜が中心。サラサラで水っぽく、かなり辛い。 |
| ※但し、東京のインド料理店の大半は、油は日本人の口に合うようサラダ油を使っています。 |
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| 寸評 |
店名 |
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電話 |
営業時間 |
料理の系統 |
短評 |
| ☆☆ |
嶮暮帰
(けんぼっき) |
西麻布 |
3498・7080 |
11:30〜14:00
17:30〜23:00
日休 |
北インド |
デリーのタージマハールホテルで修行したコック長の味。 |
| ☆ |
ザタージ |
赤阪 |
3586・6606 |
11:30〜14:00
17:30〜22:00
日休 |
北&南インド |
本格派。菜食主義者向けの野菜メニューが豊富 |
| ☆ |
インディアンレストランアショカ |
西新宿 |
3344・4588 |
11:30〜14:00
17:00〜22:00
無休 |
北インド |
ボンベイのタージマハールホテル経営。 |
| ☆ |
モティ |
六本木 |
3479・1939 |
11:30〜22:00
無休 |
北インド |
店の内装が最もインドっぽい。チェーン店多し。 |
| ☆ |
ビンディ |
南青山 |
3409・8755 |
18:00〜21:30
無休 |
西インド |
日赤、広尾商店街入り口で14年前から営業している老舗。最も家庭的。 |
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アジャンタ |
恵比寿 |
5420・7033 |
11:00〜23:30
無休 |
南インド |
本店は二番町の日テレ前。珍しくバリバリ南インド。 |
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ジャモナ |
神宮前 |
3402・0701 |
11:00〜15:00
17:00〜22:00
無休 |
北インド |
21年前から営業している老舗。石田純一や高橋克典の写真も。02’8/31で移転予定 |
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かるだもん |
吉祥寺 |
0422・49・8754 |
11:00〜23:00
無休 |
南インド |
インドの家庭料理風。マサラティー、インド産コーヒーも。 |
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サムラート |
渋谷 |
3770・7275 |
11:00〜22:30
無休 |
インド全域ミックス型 |
昔は芸能人も多かったが、通りの俗化に耐えられず。 |
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デリー |
銀座 |
3571・7895 |
11:30〜21:30
無休 |
南インド |
銀座で最もオーソドックスなインド料理店 |
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カフェ・ジャイプール |
三宿 |
3411・9170 |
11:30〜23:00
月休 |
北インド |
イラストレーターの上田三根子サンの店。 |
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マンダラ |
神保町 |
3265・0498 |
11:00〜23:00
日祝休 |
北インド |
日本人店員の店。マイルドでどれも食べやすい。 |
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RANI(ラニー) |
銀座 |
3571・4358 |
12:00〜22:00
土日祝休 |
東インド
(カルカッタ) |
カルカッタの最高級ホテルで修行を積んだシェフの味。 |
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ナイルレストラン
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銀座 |
3541・8246 |
11:30〜21:30
火休 |
南インド |
行けば必ずムルギランチを勧められる老舗。 |
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