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 夏と言えば、アイス。
 日本アイスクリーム協会の統計によると、ピークの1994年には4296億円あった日本のアイスの総売上も、その後は漸減をつづけ、2000年はとうとう3300億円台までダウン。 が、これには事情があります。

小平一雅  この数字はあくまで、大メーカーが大量生産している工業製品としてのアイスの売上げ。店が手作りで売っている自家製のソフトクリームやジェラートは含まれていないのです。
 日本人にとってもようやく、アイスは、ヨーロッパと同じように、それぞれの店の手づくりのものを食べるものに変わってきたのかもしれません。
 そうした手づくりアイスについて、考えてみました。。
イスクリームは、食感を軽くするため、作るとき、中に空気を混入させるのが普通。その混入量をオーバーランと言い、1リットルのアイスに1リットルの空気が混じっている場合、オーバーランは100。この数字が大きいほど、口当たりはソフト、小さいほど重い感じになります。そして日本の伝統的なカップアイスは、オーバーランがMAXの100。フワッとした舌ざわりが身上です。
 また、日本のアイスクリームは、公正競争規約で、乳脂肪分が8%以上と決められていますが、欧米のアイスクリームは基準がもっと上で、乳脂肪がたっぷり。つまり、日本のアイスは、何かにつけて軽く薄味だったのです。

んな日本に、1980年代、ハーゲンダッツに代表される、オーバーランが30前後で乳脂肪分14%以上の、重くて濃いアメリカ産アイスクリームが上陸。街にもアイスクリーム専門店が続々誕生しました。
 が、これらのアメリカ産アイスクリームは、いずれも工場で大量に作ったものを各店舗に配送するシステム。各店で作っているわけではありません。それに対し、ヨーロッパのアイスクリームは店ごとの手づくりが基本。

えばフランスでは、アイスクリーム(=グラス)は、基本的には、卵黄・砂糖・牛乳だけで作るもの。卵黄に砂糖と水で作ったシロップを加えて攪拌し、これに牛乳を加え、木ベラで混ぜながら鍋でゆっくり熱し、今度はそれを氷で冷やし、冷蔵庫で1日寝かす││これがアイスクリームの素、アングレーズソース。あとはこのソースを、グラス・マシーンに入れるだけ(図参照)。
 グラス・マシーンとは、アングレーズソースを回転させながら冷やし、外側の壁にくっついて凍り始めたクリームを次々に掻き取り、空気を混ぜて行く機械。

してこのアングレーズソースは、カスタードクリームと並ぶ、菓子店の2大看板。各店が秘密のレシピを持っています。
 ちなみに、菓子店ではシャーベット(=ソルベ)も重要な売り物の一つですが、こちらも、卵黄・牛乳の代わりに果汁を使うほかは、製造工程は同じ。いずれにせよフランスでは、グラスもソルベも、工業製品ではなく、手づくりが基本です。

方、イタリーでは、アイスクリームとシャーベットをひっくるめて、ジェラートと言います。作り方も使う機械も乳脂肪分も、アイスクリームと全く同じ。オーバーランも30前後。ただ一つ違うのは、食べるときの温度が、アイスクリームは零下15℃前後なのに対し、ジェラートは零下12℃前後なので、ちょっとゆるい感じがすること。
 ジェラートも、大量生産や保存がきかず、店ごとの手づくりが基本。90年代初めから日本に入り、今では各デパ地下の重要な売りの一つとなりました。

ころで最近、デパ地下でジェラートと人気を二分しているのが、ソフトクリームです。
 ソフトクリームは、オーバーランが50、温度が零下5℃の、アイスクリームの前段階の食品。ジェラート同様、大量生産も保存もきかず、作ったらすぐその場で食べる、手づくりフーズ。

日のソフトクリーム・ブームの発祥は実は北海道。札幌から帯広に向かう国道274号線は、国道沿いの牧場が新鮮な牛乳を使ったソフトクリーム店をたくさん出していることから、ソフトクリーム街道と呼ばれています。そのソフトクリーム街道の店に、札幌のデパートが注目。それが東京にも飛び火して、ザガパー、ソフティ香里等、北海道をウリにするソフトクリーム店が次々に生まれたというわけです。

まだまだ熱くなりそうな今年の夏は、ジェラートとソフトクリームの食べ歩きで凌がれてはいかがでしょうか。


主要アイスクリーム・ソフトクリーム・チェーン一覧
種類 店名 経営元 代表店舗 全国店舗数






サーティーワン B-Rサーティーワンアイスクリーム 渋谷、麻布、下北沢など 約350店
ハーゲンダッツ ハーゲンダッツジャパン 青山、新宿、渋谷 78店
ブルーシール エムアンドビー(株) 渋谷、沖縄 60
ディッピングドッツアイスクリーム グラドコテクノロジー 東京ジョイポリス、としまえん 35店(他夏季限定など)
ホブソンズ ホブソンズ・ジャパン 西麻布、六本木、アクアシティ 15店
アボッツ アボッツフローズンカスタードジャパン デックスお台場 6店




ドナテロウズ ドナテロウズ・ジャパン 恵比寿、新宿高島屋 14店(直営店のみ)
ジャラトリアパンチェーラ 森永乳業 新宿高島屋、横浜高島屋 14店
コムサアイス ファイブフォックス 渋谷、新宿 14店
マリオジェラテリア スティルフーズ 新宿伊勢丹、横浜ベイサイドマリーナ 7店
ジェラテリア・アンティカ カルピジャーニ・ジャパン株式会社 二子玉川高島屋 4店
パリヤジェラート パリヤ 東急東横、北青山 2店
ジェラートフィレンツェ タカナシフーズ 横浜ランドマークプラザ 2店






ミニストップ ミニストップ株式会社 全国第7位のコンビニ・チェーン 1538店
ディリークイーン ディリークイーンジャパン 新宿、横浜コスモワールド 31店
キハチ ソフト キハチ&エス 渋谷マークシティ、ルミネ新宿 22店
クィーンアリス クィーンアリス 池袋西武 7店
サガパー ドンサァヤ 銀座プランタン 3店
スウェーデン ニッセイ 渋谷、大阪 3店
ソフティ香里(かり) サンブリッジマネージメント 青山、代官山 2店






ペルティエ赤坂 ユーハイム ベルビー赤坂 不明
ピエールエルメ・サロン・ド・テ イクスピアリ イクスピアリ(赤坂ニューオオタニでも購入可) 不明
市ヶ谷シェ・リュイ ガストロノミー研究所 市ヶ谷 1店
ジェラート専門店の老舗、南青山の『PARIYA』(TEL:3568-1141)は、2001年1月、北青山の紀ノ国屋裏に移転。夜は創作キュイジーヌのレストランですが、昼間はカフェ。ジェラートは2種盛りで500円で、量はかなり多め。渋谷の東急東横店のデパ地下に支店があります。

かのKIHACHIグループ経営の『キハチ・ソフト』は、図の渋谷マークシティ店(?5459-1281)をはじめ、各駅ビルを中心に全国で23店舗を展開。バニラ・黒ゴマはちみつ・濃厚牛乳の3つが主力メニュー。単価は280円。

ジェラートを作るためのマシン。図のように上からソースを入れ、約8分間回すと、下からジェラートが出てきます。材料は同じでも、マシンが違うと味は違ってくるそうです

森永経営の『ジェラトリア・パンチェーラ』は、新宿高島屋を初め、全国で14店舗を展開中の、代表的なデパ地下ジェラート店。同名のイタリーのジェラード店主から指導を受けているそうです。単価はシングル290円。

渋谷センター街の入り口にある『ブルーシール渋谷店』(TEL:3476-4231)は、アメリカ生まれで沖縄育ち、全国60店舗のアイスクリーム・チェーン。沖縄特産の紅イモ味を初め、ソフトクリームも豊富です

更新日2002年6月2日
森ビル 免責事項 J-wave