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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ
 かの有名な18世紀の粋人カサノヴァはこう言っています。
「ロックフォールを食べ、シャンベルタンを飲めば、芽生えたばかりの恋はたちまち成就する」
 恋を成就させてくれるせいかどうかは知りませんが、近年、日本のチーズ消費量は、ワインとともに目立って伸びました。

小平一雅  東京でよく遊ばれているお嬢様の間では、キプロス産の『ハルミ』を軽くソテーして醤油をたらして食べたり、仏料理店のデザート前のプラトレで、『ミモレット』を花びらのように薄くスライスして盛って貰い、味だけでなく目でも楽しんだり━━ちょっとマニアックなチーズの愉しみが、密かな流行になっているようです。
 今回は、ワイン・ブームの後の、ワンランク上のチーズの愉しみを追ってみました。
ーズには、昔ながらの自然製法で作られるナチュラル・チーズと、工業的に加工し、熟成を止めて日持ちをよくしたプロセス・チーズの二種類があります。 ヨーロッパでは、昔からナチュラル・チーズが人々の生活に溶け込んでいましたが、アメリカでは、衛生上の理由から長くナチュラル・チーズの製造が禁止され、彼らはプロセス・チーズしか食べていませんでした。その影響を強く受けた日本も同様です。が、チーズ本来のおいしさを持つのは、何と言ってもナチュラル・チーズです。

チュラル・チーズ作りには、ミルクを温め、薬を加えて固め、型に入れて水を切る『製造』と、その後の『熟成』の二つの段階があります。製造にかかるのは、どんなチーズもほぼ3日。その段階で食べてしまうのがフレッシュ・タイプ。それ以外のすべてのチーズは、熟成の過程を経ます。
 熟成の際、白カビ菌を表面に繁殖させたのが白カビタイプ。青カビを繁殖させたのが青カビタイプ。表面を塩水や酒で洗って風味をつけたのがウォッシュタイプ。山羊の乳で作ったのがシェーヴル。さらに、熟成の際にプレスして水を切ったのが、ハード、セミ・ハード━━ナチュラル・チーズは以上の7種類に分類されます。

本人が知っているプロセス・チーズの食感は、どちらかと言うとハード・タイプ。だからこそ我々は、仏料理店では、もの珍しさでつい白カビ・ウォッシュ・シェーヴル等の、所謂軟質チーズを注文してしまうのです。
 フランス人も料理店では軟質を注文するそうですが、それは彼らが日常、ハードやフレッシュを食べつけているから。初心者の貴方は、まずハードやフレッシュから入られてはいかがでしょう。奥深い味のものが結構ありますから。

は料理店で管理が一番難しいのはハード・タイプだそうです。日持ちはいいのですが、切り口がすぐに乾燥して硬くなってしまうため、毎日表面を切り落とさなければならず、ロスが大きいからです(ついでに言うと、次にロスが大きいのが、日持ちが悪いフレッシュ・タイプです)。従って、たいていの店はロスや回転を考え、軟質チーズしか置けないもの。もしもハードやフレッシュを出す店があったら、その店はいい客層を掴んだかなりの店と見て間違いありません。

ころでチーズは、原料とするミルクが、夏草を食べた牛のものなのか(僅かに緑がかっています)、冬の干し草を食べた牛のものなのか(クリーム色がかっています)が大問題。草の違いが味の違いになるからです。
 たとえば、イタリーのパルミジャーノ・レッジャーノは、かつては法律で4月から11月までの間の夏草を食べた牛の乳でしか作れないことになっていました。
 フランスのサヴォア地方のボフォールには、牛の放牧地の違いからボフォール、夏のボフォール、アルパージュ(=アルプスの放牧)のボフォールの3つの種類があります。この地方では雪どけとともに放牧地が山の上に移され、それにつれて牛が食べる草が変わり、味も変わるからです。夏のボフォールは、山の牧草の豊富な葉緑素により、独特の色や香りを持つと言います。
 春先から初夏にかけては山羊がお産をして乳を豊富に出し始めるため、シェーヴルもおいしくなります。これからの季節はシェーヴルです(爽やかな酸味が一層初夏によく合うんですよね)。

のように、チーズ毎の旬を覚えればもういっぱしのチーズ通。さらなる上級者を目指すなら、チーズとワインとの相性も覚えるべきでしょう(表参照)。上級者は、重いワインに香りの強いチーズを合わせ、個性のぶつかり合いを楽しんだりしますが、入門者の貴方は、重いワインにはカマンベールのような癖のないチーズを、軽いワインにはウォッシュや青カビ等の癖の強いチーズを合わせてみてください。その方が各々の個性が素直に出ますから。

自宅で勉強なさりたい貴方は、まずは雪印経営のヴァランセ(図参照)へどうぞ。少しわかってきたら、売上げの9割までが店向けの卸ろしだという愛宕山のフェルミエへ(図参照)。仏料理店のシェフやソムリエがチーズを選ぶ様子を目撃できるはずです。

『ヴァランセ』は表参道と明治通りの交差点で8年、その前は広尾で5年営業していた雪印経営の老舗。4年前に改装。ハルミはここで買えます。奥にレストランあり。

かつては渋谷区東で営業していた 『フェルミエ』は、1997年6月愛宕山に移転。東京の仏料理店の30%を押えると言われる卸し専門店ですが、小売りもあります。

ハード・チーズは切り方が薄ければ薄いほど口当たりがよいとされ、図の専用カッター『ジロール』で切ると、スライスがまるで花びらのようになります。



タイプ特徴代表的チーズ相性のいいワイン
フレッシュ熟成さなせいチーズのこと。水分が多く軽い酸味。料理にも使用。クリ−ムチ−ズ
フロマージュ・ブラン
ブルサン
味の主張がないプレーンなものには熟成したしっかりした赤。フレーバー入りの味の強いものには白の辛口
白カビ表面が白カビで覆われ 中身はクリーム状で流出すほどに柔らかい。カマンベ−ル
ブリ−・ド・モ−
カマンベールは相性万能。軽い赤にもタンニンの強いしっかりした赤にもよく合う。カルバドスとも相性グッド。
青カビ青カビを混ぜて中から熟成。風味が強烈で塩分もキツい。ロックフォ−ルロックフォールにはソーテルヌ(甘口の白)かシャンベルタン(重い赤)の組合せが有名。ポルト酒ともよく合う
ウオッシュ外皮を塩水や酒で洗いら熟成。くさやのような強烈な匂いで通好みエポワス
ラミ・デュ・シャンベルタン
個性が強いため、最も合わせるのが困難。重い赤の個性的な香りとひとたび上手くバッティングすると最高に美味
シェーヴル山羊の乳が原料。色は白。爽やかな酸味。熟が進むと味が濃くなるクロタン
プーリニ・サン・ピエール
基本的には南の赤やシャンパン等、スッキリ系とよく合う。プーリニ・サン・ピエールはモンラッシェと相性抜群
セミハ−ド工程途中でプレスして水分をとったもの。クセがなく初心者向けトム・ド・サヴォア軽いフルーティーなものなら、赤でも白でもよく合う。
ハ−ドさらにプレスし水分を飛ばしたもの。熟成に時間がかかる分保存可ボフォ−ル
ミモレット
ボフォールは、熟成したボルドーの赤と相性抜群。軽い辛口の白とも合うものが多い。

「都内でナチュラルチーズを100種以上置いている店一覧」
店名 場所 電 話 定休 種類数 特徴
高島屋輸入チーズコーナー 日本橋 3211ー4111 150 イタリー産チーズが豊富
プランタン銀座フロマージュリー 銀座 3567ー0077 100 40g位のミニチ−ズが安価で好評
大井阪急フロマージュ 大井町 3778-5111 250 ひと口サイズから料理用まで幅広い品揃え
フェルミエ 愛宕山 5776ー7722 日祝 200 東京の仏料理店のチーズの元締め
ザ・ガーデン池袋店 池袋 5992ー6900 不定休 170 仏産中心。白カビタイプが豊富
チーズ王国新宿店 新宿 5379ー7729 200 オリジナルのロレ−ヌブリ−が好評
三越日本橋店輸入チーズコーナー 日本橋 3241-3311 100 仏産中心。フレッシュタイプが豊富
伊勢丹本店チーズコーナー 新宿 3352ー1111 200 常時販売員がおり初心者も相談可
ナショナル麻布スーパーマーケット 南麻布 3442ー3181 300 各国産の揃ったチェダーが売り
紀ノ国屋 北青山 3409ー1236 200 ワインの種類と同数のチーズを用意
アロマッシモ 銀座2丁目 3535-4747 180 銀座8丁目にも店舗あり。大抵のものが試食可
ヴァランセ 神宮前 5466ー2601 不定休 180 雪印直営。奥にチ−ズ・レストラン
明治屋広尾ストアー 広尾 3444ー6221 150 明治屋中、チ−ズ売場の規模は随一
更新日2002年3月31日
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