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 日本人の運動量は、ここ20年間で劇的に減り、渋谷の若者が自分の身体を支えきれず、地面にしゃがみ込んじゃうほどに筋力が低下。おまけにサラリーマンやOLは、一日中デスクのパソコンに向かって同じ姿勢をとりつづけているものだから、ただでさえ弱っている筋肉が欝血して、コリまくり状態。街にマサージ店が増えつづけ、雑誌がマッサージ特集を繰り返すのも道理というもの。

小平一雅  ことに、伸びが著しいのが、TVで再三紹介されている台湾式足裏健康法。そして、その足裏の店がなぜか集中しているのが、赤坂の一ツ木通りとみすじ通りにはさまれた一角です。
 今回は、赤坂足裏ストリートと、その意外なルーツについて、お話しいたしましょう。
誌のマッサージ特集は、多くの場合、マッサージも指圧も按摩もひとまとめにして「マッサージ」と呼びますが、細かく言うと、指を肌の表面で滑らせるのがマッサージ、患部に指を垂直に立ててそのまままっ直ぐ押すのが指圧、少しスライドさせるのが按摩━━さらに専門的に言うと、末端の血流をよくすることで心臓も活性化させる求心性を基本としているのが西洋系マッサージで、心臓から出るエネルギーを末端まで届かせようという遠心性を基本としているのが東洋系の指圧・按摩、という違いがあります。

存じの通り、指圧・按摩のルーツは中国4千年の歴史を持つ漢方医学。漢方の考え方では、人体には経絡というエネルギーの流れがあり、その流れが身体の表面に最も近づく場所が経穴、その経穴を刺激すればエネルギーの流れがよくなり病気は治る、とされています。ちょっと聞くとオカルトですが、最近の医学の研究では、たとえば漢方で「中カン」と呼ばれる胃のツボは「腹神経節」という胃の自律神経の集まる場所、「関元」と呼ばれる生殖器のツボは「下腸間膜動脈神経節」という神経束が集まる場所━━というふうに、ツボにも科学的な意味があることがわかってきています。

本では、1993年以降、指圧やマッサージに関する国家資格が設けられ、専門学校に3年間通った上で試験に合格したヒトでなければ、マッサージ治療を施してはいけないことになりました。その結果、国家資格を持たないヒト(たとえば中国から来たばかりとか…)を雇う店は、マッサージや治療という言葉を避け、エステとかリラクゼーションとかいった名目で営業するようになります。その代表が、近年、爆発的に流行している台湾式エステ━━いわゆる「足裏健康法」店です。

間の足の裏が臓器と「反射」の関係にあり、足裏のツボを押すとそれに対応して臓器が活性化されるという思想を編み出したのは、19世紀のアメリカ人医師、ウィリアム・フィッツジェラルド(アメリカ人が発明したって、ちょっと意外でしょ?)。彼の考え「反射学=リフレクソロジー」と呼ばれ、やがてヨーロッパにも渡って、アロマ・セラピーと結びついた、独特のリラクゼーションの店が生まれてゆきます。

から30年ほど前、このリフレクソロジーを研究して台湾に伝えたのが、スイス在住の中国人カソリック神父、呉若石氏。彼の足裏健康法は、「足部反射区健康法」とか「呉神父健康法」と呼ばれ、爆発的に普及し、台湾には専門店が次々に生まれます。
 欧米流のリフレクソロジーの店は、マッサージに慣れた欧米人向けに、指をソフトに滑らせるだけなのに対し、「台湾式健康法」の方は、指圧慣れした東洋人向けにかなりハードに押すという違いがありますが、ツボのポイント(図参照)はまったく同じ。台湾式のルーツはアメリカにあり、と見て間違いないでしょう。

圧師や鍼灸師に言わせると「足裏健康法は、中国4千年の歴史の漢方とはまるで無関係のオカルト」(確かに、漢方は足裏はそれほど重要視していません)ということになり、マッサージ師に言わせると「心臓から一番遠い足の裏の血流をよくするんだから、効果はあるんじゃない?」ということになるのですが、これはもう宗教と同じで、自分が信じられるかどうか。効くと信じられさえすれば、少なくとも自己治癒力が増す効果はあるはずですから、とにかく一度試して、貴女なりの結論を出してください。

試しは、ぜひ本場赤坂へ。1996年7月に、一つ木通りの入り口に台湾式の老舗『烏来』が出店し、芸能人や放送関係者の間で評判を呼んで以来、一ツ木通りとみすじ通りに囲まれたこの一角(地図参照)には同趣向の店が続々誕生。1998年2月には、初の英国式足裏健康法の店、Queensway までオープンし、日本一の足裏激戦区となりました。ちなみに「英国式」という言葉は、Queensway が、台湾式とは一味違う高級サロンっぽい雰囲気を伝えるために考えたオリジナルで、欧米にはそういう用語はありません(この店の押し方の強さは、日本人に合わせて、欧米と台湾のちょうど中間です)。

の他にもこのエリアには、韓国式・中国宮廷式・リンパ系・漢方治療など、20軒を越える各種マッサージ店が入り乱れて出店。韓国式や中国宮廷式を名乗るところにはエッチ系の店も多く、聞きかじりの知識で出かけると恥ずかしい思いをされかねません。地図(フーゾクははずしてあります)を参考に、事前に電話で問い合わせてからお出ましください。

『烏来(ウーライ)』(3589-0520 場所は下の地図参照)は、神田うのも通う、赤坂最古の足裏健康店。渋谷に支店あり。

『阿里山』(5562-6585)は赤坂一の正統派。烏龍茶で足を洗い、押した後は蒸しタオルで足を蒸し、最後に白湯を飲むのは、烏来と同じ。最近は頭ツボ・コースも人気です。

『Queensway』(3583-2277)は全国に約50店舗あるリフレクソロジー・チェーンの第1号店。経営者は元JALデスの藤田桂子さんです。

【赤坂足裏マッサージ・ストリート】
更新日2002年3月19日
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