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ホイチョイプロダクションズの東京コンシェルジュ
 酉の市が過ぎ、浅草の羽子板市も終わると、東京もいよいよ年の瀬。商店街には、植木職人や鳶の人たちが筵と材木を使って松飾りの販売小屋を建て始め、正月気分が盛り上がります。

小平一雅  でも、ここ20年、日本人にとっては、正月よりもクリスマスの方が重要なイベントになってしまい、マスコミも暮れはクリスマス一色。女性雑誌も、『家庭画報』や『オレンジページ』等の主婦向け雑誌以外は、お正月をないがしろにしつづけています。
 そこで今回、当コンシェルジュは、忘れかけられた純日本式の正しいお正月の過ごし方にこだわってみました。あなたも、一度くらい、ハワイにも雪山にも行かず、東京でオーセンティックなお正月を体験されてはいかがでしょうか。

12月28日  やれ大掃除だ、やれお節料理だと、毎年恒例の大騒ぎが始まるこの日。まずは、年末の東京の気分を満喫するため、お節料理の材料を仕入れに築地の魚河岸に足を運ばれてはいかがでしょう。魚河岸は、場内市場と場外市場とに分かれていますが、この際ですからめったに行くことのない「場内」に足を踏み入れてみてください。お値段は市価の30〜40%オフ。海老屋さんや珍味屋さんなど、専門店も充実しており、モノの多さ・品質のよさは、アメ横の比ではありません。以前は「素人の来るところじゃねぇ」と無愛想だった場内のオジサンも、長引く不況で態度が一変。数年前から、個人客も笑顔で迎るようになっており、アナタも安心して買い物ができます。
 河岸は普段は日曜は休みですが、暮れは例外。30日の日曜だけは通常営業で、朝からセリも行なわれます(ちなみに、年内最後のセリは29日。新年は5日からです)。
 鮮魚以外の乾物やお惣菜類は、「場内」の北東に隣接した「場外」で揃えてください(下の地図をご参考にどうぞ)。こちらも、モノは相当に充実しています。
 買った材料はすぐ冷凍庫へ。夜は、残った年賀状の最後の仕上げに充てられてはいかがでしょう。


"場外"と呼ばれるのは、上図の中央部一帯。乾物・練り物・惣菜・漬物・珍味等の専門食料品店が約270軒、ズラリと軒を並べています。


12月29日  この日は年末最後の大掃除。年末の大掃除って、実は宗教的な儀式だって、知ってました?
 日本古来の宗教「神道」では、毎年、年始めの朝には、その年の五穀豊穣をもたらす「歳神」という農業の神様が家を訪れると考えられており、門松・輪飾り・玄関飾り等の正月飾りは、歳神様を迷わず家に招き入れるための、いわば道案内の役割を果たすもの。そして餅をお供えして食べるのは、農業の神様に対するリスペクトの顕れ。
 またこれとは別に、昔は、各家庭に神棚があり、神棚の中には、地元の神社(=氏神)の「お札」を1年を通し飾り、その上に「しめ飾り」を飾っていました。これらを、新しいものに交換するのも、お正月の大切な行事。
 つまり、お正月は、新しい「歳神」様と「氏神」様を、同時に家に迎え入れるための、大切なお祭りなのです。そして、新しい神様をお迎えする際には、受入れ先を清めるのが、神道の慣わし。神社の境内を毎朝お神主さんが掃除しているのも、同じ理由です。
 これで、年末大掃除の宗教上の意味が、おわかりいただけましたね。意味がわかったら、面倒くさがらずに、さあ、どうぞ。


12月30日  多くの神社は、古い「お札」や「しめ飾り」を燃やす「お焚き上げ」の行事を、この日から始めまう。30日は、地元の神社に行って、前の年の「お札」と「しめ飾り」を返し、新しいものを買う日に充ててください(初詣での時に買ってもいいのですが、年内に取り揃えるのが本式だそうです)。
 また、神社では、右ページのイラストに示した「正月飾り」も売っているので、一緒に買って帰りましょう(各商店街に建つ筵がけの小屋でも売ってます)。
 マンションにお住まいの方は、玄関の扉に「玄関飾り」、各部屋のドアノブに「輪飾り」を付ければ十分。お札は、右図のようなインスタント神棚にどうぞ。もうひとつ欲を言えば、靴箱の上に鏡餅があるとバッチリ。餅の下に敷く「ウラジロ」(=シダ)は、正月飾りと一緒に売っています。
 なお、こういった飾り付けを31日にすると、「一夜飾り」といって、お年寄りからバカにされます。必ず30日じゅうに済ませましょう。


12月31日  大掃除や飾り付けは30日までに済ませ、この日は楽しいクッキングタイム! 31日は、お節料理を作る日です。早い話、楽チンな正月を過ごすために、3日分のお弁当を作ると思って下さい。お節料理の中でも、黒豆や栗きんとんといった手間のかかるものは、築地の場外でできあいのものを買っておくといいでしょう。場外にはたいていのアイテムが揃っていますし(地図参照)、デパートで有名店のお節をお重ごと買うより、はるかに安く、「気分」です。
 但し、焼き物・お煮しめ・紅白なます等は、簡単ですから、ママからレシピを教わってご自分でチャレンジを(特に煮しめは、各家庭の味があるので、できあいはピンと来ない場合が多いようです)。 夜は、年越しソバを食べ、除夜の鐘を聞きます。百八つ鳴り終わったら、「恵方」にある神社に初詣。恵方とは、その年、福が来るとされている方角で、来年は「丙」(=南南東)がそれにあたります。暮れのうちから、自分の家からみて南南東にある神社をチェックし、お札もそこで買っておくこと。
内容主な料理
一の重酒の肴or甘いもの田作り(=ごまめ。干した小魚を炒ってタレをからめたもの)・昆布巻・数の子・かまぼこ・子持ち昆布・伊達巻・黒豆・錦卵(黄身と白身に分け、裏返しして二層に合わせて甘い卵)・栗きんとん
二の重焼きものor口なおし鯛の塩焼き・海老の鬼殻焼き・鱈の西京焼き・花かぶ・はじかみ(紅色の酢づけしょうが)・酢れんこん
三の重煮もの煮しめ・いりどり(=筑前煮)
四の重酢のもの紅白なます・柚がま

玄関飾り
ワラで本体を作り、それにダイダイ、ウラジロ、四手(しめ飾りなどにも使われる紙製の飾り。紙垂とも書きます)等で飾ったもの。


門松
冬でも緑をたたえる松は、生命力の象徴。門松以外にも、様々な飾りに利用されます。「正月飾り」が別名「松飾り」と言われるのはそのためです。



輪飾り
最もシンプルな正月飾り。すべての飾りをこれで代用することも可(駅前の筵がけの小屋のほか、東急ハンズでも各種売ってます)。

鏡餅
半紙の上にウラジロ(本文参照)を敷き、丸い餅を二段に重ね、上にダイダイを乗せます。家に来た歳神様は鏡餅にも宿ると言われています。

神棚がないうちでも、目線よりも高い棚に南向きか東向きにお札を立て、その前にしめ飾りを吊れば(太い方が向かって右に来るように!)OK

1月1日
考えてみれば、昔の日本人は満年齢ではなく数え歳という歳の取り方をしていたわけで、正月は、日本人全員がひとつ歳をとる、めでたい誕生日。「あけましておめでとうございます」と、挨拶をするのも道理なわけ。
家族と改めて「おめでとう」の挨拶をかわしたら、まずはお屠蘇。お屠蘇は、肉桂・山椒・防風・ききょう等の漢方薬から成る「屠蘇散」(ティーバッグのように絹袋に入ったもの)を味醂の中に浸した、薬用酒。1年の邪気を払うとされています。「屠蘇散」は、酒屋サン・薬屋サンの他、神社でも手に入ります。
 お屠蘇を飲むときは三段重ねの専用の「屠蘇器」を用います(右イラスト)。なければ、塗り椀のふたで代用してもOK。
 お屠蘇の次は、お雑煮です。お雑煮は地域色の濃い食べ物ですが、東京は、焼いた角餅をすまし仕立てのおつゆで頂くあっさりタイプが主流。濃い味付けが好きな江戸っ子も、お雑煮だけは別のようです。これもママから、先祖伝来のレシピを教わっておくように。
 雑煮が終わったら、今度は新年最初に汲んだ水(=若水)で湯を沸かし、「福茶」を入れます。福茶は、お茶に小梅や昆布などを入れたもの。お茶屋さんで売ってます。きゅうすで、普通のお茶と同じように入れてください。
 夜は、TVでも見ながら、かねて用意の入魂のお節料理の試食会。それと、自分は出さなかった方からいただいた年賀状への返事も、忘れずに。


屠蘇器には、銀器・せともの・塗り物の3種があります。図は日本橋三越で見つけた一番安い塗り物の屠蘇器セット(¥7960)。安いものでは5千円からあります。

1月2日 「 2日は、新年最初のお化粧(=初鏡)を決めて、お年始廻り。普段お世話になっている方に改めて着物でご挨拶、というのは、なかなかいいものです。但し、派手な振袖は年配者のやっかみのもと。控えめに抑えめに。 都心にお住まいのクラッシーなお嬢様は晴れ着を着て、ホテル・オークラ平安の間に足を運びます。ここは毎年、大晦日の晩から3日まで、もぐら叩きから楽焼きまで屋台が並ぶ簡易ゲーセンと化し、ハイソの社交場と化しています(入場料9000円)。  寄席に行くのもいいかもしれません。新宿末広亭は正月初席のみ三部制となっており、それぞれ11時、15時、18時半から(今のうちに行っておかないと、なくなっちゃうという噂もありますので)。
 尚、どういうわけか、「初夢」は2日の夜に見るものと決まっており、「宝船」の絵を枕の下に敷いて寝ると、いい夢が見られるといいます(詳しくはイラスト参照)。]


枕の下に敷く宝船の絵は、初詣に出かけた神社の境内の出店で探してください。また谷中の千代紙屋サンの『いせ辰』では、1年中売っています(¥350)。
1月3日  三が日も、この日まで。
 この日以降は、お正月からのフェ−ドアウト行事がつづきます。例えば7日は、春の七草の入った「七草粥」を食べる日。右図を参考にどうぞ。ちなみに七草のうち、スズナはカブ、スズシロは大根のことです。また、11日は、飾っておいた鏡餅を割って、汁粉か、揚げてかきもちにして食べる「鏡開き」の日。15日(=昔の「小正月」)は、正月飾りを神社で焚き上げる「どんど焼き」の日。
 と、これで正月の行事は全部完了。とにかく一度、全部をキッチリこなしてみてはいかがでしょうか。結構、新鮮な感動があるかもしれませんよ。



【七草粥の作り方】1)鍋で洗い米を炊く。2)青菜類は湯でサッと茹で、冷水に浸し、水気を切ってみじん切り。3)炊き上がった米に塩少々。火を切る直前に青菜類を入れてできあがり。
更新日2001年12月2日
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